SDGsと書いて「エス・ディー・ジー・ズ」と読む、この言葉知っていましたか?これは2015年に国連が加盟国全てのコンセンサスを得て採択された「地球人としての目標」です。SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と日本語訳されています。
アジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標をかかげました。この目標が、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継であり、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。
2014年に福岡市環境学習・教育政策審議会委員にもなって、当時週2日の勤務をしていた北九州ESDステーションでの北九州市立大学の特任教員の経験もあって、「ESD (Education for Sustainable Development)」持続可能な開発のための教育、という言葉はあったんですが、このとき世界はまだ17の目標には至っていなかったんですね。
SDGsをビジネスに活用!というセミナーに参加
2015年に「SDGs」という言葉が出てきて、WEB上で出回ってきたときに、ESDのことはよく理解し、仕事として実践していたことや、福岡市の環境学習の基本計画にも盛り込むように要請したこともあって、すんなり入ってきました。
でも、一般の人にとってはSDGsどころか、ESDも知らないわけで「エスディー?えっ?なに?」みたいな感じなんでしょうね。SNS等で発言しても、リアクションは薄いです。(笑えない!)
そんな中、もっとSDGsを広めたいし仲間を増やしたい!そのためにしっかり勉強しておきたい!と思っていたこともあり、北九州市立大学が主催し、かつての上司である眞鍋先生が首謀者ということで、3月12日(月)に開催されたSDGsセミナーに参加してきました!
基調講演は、元外務省で国連広報センター長も務め、2017年9月より「SDGsとESG投資をはじめとするグローバル基準の標準化、企業のサステイナビリティ強化支援」などを行うSDGパートナーズを立ち上げた、代表取締役CEOの田瀬和夫さん(福岡市出身!実家が福岡市内にあるそうな)。
その他にも事例発表として、北九州が誇る世界企業TOTOや、損保ジャパン日本興亜のCSR担当の方、そして北九州のモノづくり中小企業である石川鉄工所の石川社長(実はこの人がたいへんすばらしい信念を持たれていて感動した!)
世界がSDGsに向かう中、日本はSDGsって何?状態
たいへん申し訳ないんですが、日本の経済界は経団連が2017年秋に、企業行動憲章を改訂しSDGsの文言を盛り込んでいるものの、多くの上場企業が「もともと自社でやってたCSR事業が、SDGsのどの番号を目指しているか、当てはめただけ」になっています。だからか、事例発表で登場したTOTOも損保ジャパン日本興亜も、なんか信念みたいなのが伝わってこないというか、「あぁカタチだけで取り組んでる感じだなぁ」って受け取りました。
(担当の方々はそうじゃないんでしょうけどね)
東京で多くの大企業のブランディングや商品・サービスのコンセプトデザインなどをしている知人が別件でたまたま北九州入りしていたので、東京でのSDGsはどう?って聞いてみたんですが、「いまいち広がってないし、一部のNPOやソーシャルな感じの人が熱心に言ってる印象で、企業のビジネス活動としては全然」という返事。CSR担当部署がやるってことは、「事業の本筋」ではないわけで、それが企業理念やメッセージと紐づいて発信もされていないことが伺えます。
でも、欧米中心に世界は経済界も自治体も多くのNPO・NGOや、教育にも「SDGs」へ大きく舵を切っています。って言ってもみんな知らないんだよなぁ~。。。
ということで、自分なりに解釈してたことや、このセミナーでまとめたことを以下に書いてみます。
SDGsは「人類の生存戦略の1つの到達点」
人類の歴史は戦争の歴史です。あらゆる人種・宗教・土地や権力を巡る争いの物語が歴史です。でも産業革命以降、世界は急速に経済発展し、戦争はより大規模になり、貧富の差は激しくなっていきました。そんな中、「戦争をなくす」「飢餓をなくす」「人権をまもる」という目標とともに国際連合という枠組みに世界は向かっていきます。
そして第二次世界大戦前後から経済発展していった先進国と、1990年前後から経済発展していった国、そして今現在発展をしようとしている国、これらの国々に明確に違いがあるのが「環境問題」。
これら「人権」に関する問題も、「環境」に関する問題も、すべては人類の経済発展と競争が生んだ産物でもあるわけで、きっと起点は「農業革命」にまでさかのぼるんでしょう。でもこれらの問題と、いつまで続くかわからない「地下資源」も含め、地球上で人類が生存していくには、「経済発展もしながら、人権と環境の問題を根絶する方向性に、人類が向かわねば」として世界中の有識者が対話を重ねてできていったのが17の目標169のターゲット。これがSDGsです。
そう、あらゆる生物の中で「生存戦略」が必要なんですが、人類は同じ種族で争う理由がだんだんなくなってきているわけで、そうではない「争いが生むあらゆる悲劇」という共通の敵を見出したこと、「環境を犠牲にして経済発展をすることで生まれる悲劇」もこれに加え、「SDGs」という教育、いや文字・言語を生存戦略として掲げたわけです。
企業はSDGsをどうビジネスに活かせるの?
今回のSDGsセミナー、眞鍋先生が言うに定員50名にしていたのに申込殺到し100近くあったとか。そしてその半分は企業人、残り半分が行政や教育・NPO関係者だったそう。ここ最近、ビジネスの世界でも「SDGs」という言葉が広がりを見せるものの、いまいち活かし方がわからない、そんな企業経営者やビジネスマンが多いということのようです。
そんな中で、SDGパートナーズの田瀬さんの話は痛快でした。経営理念や戦略の中にSDGsを内部化・内在化させるとどんな利点があるのか?
・逆算思考「ムーンショット」
・演繹的イノベーション
・リンケージ
の3つだそう。詳しくは以下のSDGパートナーズのWEBサイトに載ってたのでそちらを(笑)
参考:SDGパートナーズ
かいつまんで話すと、日本企業の多くが企業理念も計画も目標も「帰納法的」で、対処療法なものが多い、と。これではイノベーションは起きず、どんどん視野は狭くなっていき、社会課題の本質の解決には繋がりにくいそう。でも、SDGsをちゃんと学び、経営の中に取り込むことで「逆算的に目標を立て、それに向けてのイノベーションが起き、人材が育ち、さらに事業のレバレッジや相乗効果が起きやすくなる」のです。
ちなみに今回のセミナーで司会を務めた北九州市立大学3年の女子は元教え子で、冒頭で「就活中ですが、SDGsやESDを学んだので、企業のそれらへの取り組む姿勢を見てます」的な発言。もう意識高すぎなんですが、消費者動向も、働きたい若者も、優秀な人ほどこれらを比較材料にどんどんし始めてますよね。
そしてSDGsが重要になってきているもう1つがお金の流れ。2017年3月に世界最大級の投資会社のフィンク会長が、全世界の有力企業へ発信したメッセージが「社会的な役割や貢献の重要性」について触れていて、環境・社会・人権に配慮してない事業展開する会社からは資金を引き上げる!的なことまで言っていて、SDGsの文脈でいくと「ESG投資」と言ったりもします。現に、そのようなことが日本企業にも起こりつつあるそうで、「SDGs?なにそれ?」って言ってるビジネスマンは全然グローバルでは通用しないってことになっていきます。
田瀬さんの話はたいへんわかりやすく、「多くの企業がまだCSRの延長線上で符号化させてるだけで、それでは経営戦略に内在化させているとは言えない」的なことを発言し、すごく納得したんですが、その後登場したTOTOのCSR担当の方は、「確かにその通りだ、自社はまだまだ、全然できていなかった」的な感じでボロボロの事例発表になってたけど、逆にかなり良い刺激になったと思うので、TOTOはおそらく本腰入れてやってくるんじゃないか?と期待したい!(これで変わらなかったら・・・)
企業がSDGsを経営戦略に実装するとどうなるのか?こちらも参考に