ふくおかフィナンシャルグループが毎月発行している、取引先等の情報をまとめている「調査月報」。デザイン会社のGAタップさんがSDGs関連の枠をもっており、社長の野田さんからお声かけいただいてSDGsに関する記事を寄稿しました。
寄稿した記事「SDGsは企業経営の難易度を高めてしまうのか?」(PDF)
上記でも読めますが、文章のみここに記載しておきます。
私は現在、福岡テンジン大学というNPO法人の経営をしながら、福岡・天神地区のまちづくり団体で非常勤事務局員をしつつ民間企業数社でも働き、大学でも教員をして、行政の複数の委員を務めるなど複業の働き方をしています。17年前に大学を卒業した頃の社会は、SDGsのような概念はなく、企業もCSR活動として環境活動をしたり、NPOに寄付したりをしていた程度でした。
ところが現在では、SDGsが国際社会からの要請として“持続可能な視点”がない事業には、人もお金も集まらないようになってきました。ジェンダーに関する発言・表現が炎上しやすくなり、サプライチェーンにもSDGsの視点が入り、企業間取引にも影響するようになりつつあります。ここに現れた新型コロナウイルスの全世界への広がりから、より社会は「未来を予測するのが難しい」時代へと突入しました。さらに日本は人口減少社会に突入し、地方では人材獲得が難しくなっており、企業の経営の難易度はますます高まっていると感じます。そこで1つ提案したいのが「SDGsの経営実装」です。
2022年度までに小学校・中学校・高校の学習指導要領にSDGsが盛り込まれ、多くの大学でもSDGsに関する教育が始まっていることもあり、これからの社会を担う若き人材には、当たり前にSDGsが実装されていきます。この教育における変化が、産業界にもたらす影響は大きく、これから起こるのが「SDGsを経営実装できていない、その概念の浸透がない企業」が選択されないこと、と言えるでしょう。
とくにビジネスにおける優秀な人材ほど、自身が携わる仕事が「地域や社会に貢献できるか」の視点を持っています。つまりSDGsを企業経営に実装することができれば、「自分は仕事や会社を通じて世界に貢献できるのか」を実感しやすい環境をつくることができるでしょう。では、SDGsの経営実装とはどのようにしたら良いのか。私が経営支援をしている株式会社スペースRデザインは、築古ビルにリノベーションやDIYやコミュニティデザインの手法で資産価値を向上させる福岡の不動産会社です。その事例を紹介します。
これまで当社では、築古ビルの管理会社としてリノベーションやリーシングを行うだけでなく、ビルオーナーの勉強会から入居者向けのイベントまで、幅広くコミュニティデザインの活動も行ってきました。しかし、このすぐに売上に繋がらないコミュティ活動は、会社の中での優先順位がどうしても上がりませんでした。ここで会社の経営モデルを、SDGsを使って構築することを提案。そして出来上がったのが図です。これまで売上に直結する「インナービジネス」にばかり着目していた社員も、顧客創出機会となっていた「アウタービジネス」が可視化され、その意義が浸透。さらにSDGsを「インプット」に置き、利益の投資対象としてもSDGsを位置づけることで、「自分は会社を通じて、社会の何に貢献できるのか」を、社員一人一人が実感を持ちやすくなりました。また、このモデルを浸透させていく過程で対話型研修を毎月実施、社員一人一人が意見を述べやすい環境づくりも行いました。すると、社員たちは自分で考え行動するようになり、売上も上がり、それがまた自信にも繋がるという好循環が生まれています。
SDGs広がる現代では、これまでとは違った経営環境になるという意味で、経営の難易度は上がっているのかもしれません。しかし、この世界的な潮流に乗ることで、人やお金が集まり、事業をより高みに持っていける可能性も感じています。
2021年も年末になりました。改めて今年はコロナ禍ながらSDGsに関するいろんな相談を受けてきたように思います。
・福津市 第2回ふくつSDGs賞 選考委員会
・長崎県経済同友会 講演「SDGs×経営戦略が中小企業の未来を変える!?」
・アカマイ・テクノロジーズ SDGsダイバーシティ研修
・三好不動産 経営計画発表会 講演「SDGsの視点から考えるずっと住みたいまちとは?」
・経済産業省九州経済産業局(九州SDGs経営推進フォーラム) 講座「SDGsが企業経営に与える変化を活かすためには?」
・壱岐市 講演「SDGs~地域課題の共創解決に向けて~」
・福岡県立 三潴高校 講演「SDGs × 探求 ~地域課題 と キャリア教育~」
・FFG調査月報12月号 寄稿「SDGsは企業経営の難易度を高めてしまうのか?」
なんかお堅い感じになってますが、内容はかみ砕いてそもそも・なぜ人類はSDGsにいたったのか?なぜ今世界はSDGsに向かっているのか?を腹落ちしてもらうような入門編と思ってます。
2022年はSDGsに限らず、Well-beingやダイバーシティを企業経営と掛け算していくような支援ができればなと思います。