SDGs

SDGs視点で見る地方都市の生き残り戦略!?

コロナ禍に入り、なぜか鹿児島県にたびたび呼ばれて講演する機会をいただいております。そのテーマも「SDGs」。九州内のいろんなところから、SDGs文脈で講演依頼があるのですが、岩永の場合はど真ん中のテーマで持っていくのが「ジェンダーギャップ」です。

SDGsを2015年9月に国連が採択する前から、男女共同参画の分野に携わり、主に福岡県内で講演したり、ワークショップしたり、もちろん今でも男女共同参画の方々からも呼ばれるのですが、SDGsが出てきてからようやく経済界・産業界が「ジェンダーギャップの課題を解決しないとな~(まぁでも消極的な空気)」と言い出した感覚を持っています。

経済産業省・九州経済産業局も部署を設けて啓蒙活動を実施していて、2018年にインタビューをいただき、冊子に載ったのがキッカケで紹介含めて声がかかるようになったようです。

地方都市の人口減少は女性の方が多い!

講演では「一丁目一番地はジェンダーギャップです」、と言っています。日本において人口は流動的に田舎から都会へ、都会から都会へと動いていき、様々なライフステージで「居住地域」を移っていける時代になりました。ましてやインターネットと常時手元で接続できるスマホがあれば、様々な魅力的なモノを目にすることができます。

「人は情報という刺激を求める」生き物です。好奇心が強く、快楽性の高いものを経験すると、刺激の低いものがつまらなく退屈に感じる生き物です。そしてその感度はおそらく女性の方が強いのでしょう(ファッションとか流行とかに敏感)。

25年くらい前までは、その地域から「学力の高い人」、さらにその多くは「男性」が主に首都圏に吸い取られ、そしてその男性たちはほぼ戻ってこない構造になっていました。

ところが今は「大学全入時代」というくらい、男女関係なく進学する時代に。さらに情報に敏感な女性たちは、親や祖父母世代の田舎あるあるの「男尊女卑な文化」を目の当たりにしてきており、「この土地に住んでいたら、自分の可能性の芽は潰され、自分で人生を選ぶことができなくなるのではないか」というリスクと、「都会に出て稼ぐことができれば、華やかな暮らし・交友関係・ショッピング体験ができるのでは」というメリットとを比べ、田舎を出て行く時代です。

よって、近年では「女性の方がより多く、地方から出て行く」現象が起きています。

参考:地方の人口流出、男女差はっきり 若い女性が東京に向かうワケは(朝日新聞 2021.11.2)

九州男児の文化圏で打つ手はあるのか!?

「九州男児」という言葉は鹿児島県で生まれたそうです。そして九州は比較的男尊女卑が文化のように根強く残っており、年配の方々の会合や集まりに行くと、いまだに「女性がお茶くみ」をして、会議のメインは男性、みたいな現場に出くわします。

そんな鹿児島県にSDGsで呼ばれるのも何かのご縁、と「二度と呼ばれない覚悟」で、「ジェンダーギャップを今この世代で解消に向かう手を打たないと、この地域は人口減少、若者流出で滅びますよ」と言いに行きました。

そしたらなぜか大好評らしく・・・。

いや、でも、年配の男性たちには絶対耳が痛い話だし、嫌悪感示すくらいあると思うんですよね。なのに度々呼ばれる・・・。と言っても同じところに呼ばれるのではないので、二度と呼ばれないのは事実かもしれませんが。

そして今年11月には、昨年2022年に鹿児島市主催で呼ばれた「SDGs×経営の講演」をキッカケに、「うちのまちでもお呼びしたい!」と、鹿児島県いちき串木野市に呼んでいただきました。さらに来年度もまた呼びたいという声もすでにいただいております。

人口は確実に“もっと”減る。この撤退戦を地方はどう戦うか?

リクルートワークス研究所が今年発表したレポートに、今後日本では人口減少が各産業にどれくらいの人材不足のインパクトを与えるのか?を試算したものが載っています。なかなか衝撃なんですが、このインパクトを明確に認知して危機感持って話している人に、あまり出会えていません、とくに地方都市では本当にこの危機感あるの?と思うくらい。

※引用:リクルートワークス研究所「未来予測2040 労働供給制約社会(PDF)」

「役割が年齢でも性別でも固定化」していたりすると、若者や女性にとっては「このまちはクソつまんねーなー」ってなります。そこには一定程度の流動性や、誰もがチャンスを感じるような環境が必要なのだと思います。

その環境づくりを阻害するのが、家庭でも地域でも職場でも「女性が活躍するのを拒む、制度・構造、そして1人1人の意識」です。さらにそれをこれまで固定化し、最適化させてきた「地域の祭り」や、職場における「年功序列」「終身雇用」、などが壁になってしまっています。

家庭でも地域でも職場でも、この意思決定をする上層部に「男性ばかり」なので、若者も女性も絶望するわけです。となると、地方はこのままこれを放っておくと、若者や女性の流出は止まりません。

①一度、いろいろ崩壊して人がいなくなるまで待つ

②今ここで改革に舵を切って、動き出すか

多くの地域や組織では、①の戦略を自然と取ってしまっているように感じます。その一度リセットうするくらいまで待つとなると、時間軸としてどれくらいかかるのでしょう。

私はSDGsに関する講演やワークショップの依頼を受けたときは、この人口減少・人手不足という課題を必ず関連付け、問いかけたり、提案するような内容を組み立てるようにしています。今すぐ、自身の家庭・地域・組織でもできることってあると思います。

まずは学び、同じく危機感持って学びはじめた仲間を集め、少しずつ進めていく。そんな人が地方に増えていくと、誰もがもっと住みよい・住みたくなる地域になっていくと思うんですよね。それでも人口は減っていくのですが。

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