ファシリテーター

ファシリテーションを学ぶ~対話が生まれる場づくり研修~

福岡都市圏にある15大学と、福岡市役所と、福岡市商工会&福岡中小企業経営者協会とで構成する「福岡未来創造プラットフォーム」という横断型組織が2019年度に立ち上がりました。

>> 福岡未来創造プラットフォーム

このプラットフォームは、近年の急激な社会変化(情報技術、グローバル化、少子化・高齢化など)に、大学がどう向き合うか?を福岡都市圏全体で考え、学生の育成と、地域への貢献とをセットに考えていくために立ち上がったものです。

目指すビジョンは4つ。

Ⅰ:大学・自治体・産業界とのリソースの共有にもとづく高等教育及び地域の活性化の推進
Ⅱ:若者が集積し、成長し、活躍する活気と魅力あるまちづくりの推進
Ⅲ:多様な人びとが豊かな学びを通して活躍できるダイバーシティ社会の推進
Ⅳ:大学・自治体・産業界の垣根を越えた知的・人的交流の促進と高等教育機能の向上

組織の境界線を越境しあうために

これら15大学、福岡市、商工会&経営者協会の方々が、それぞれの立場を越えて「対話」をする機会は、これまでも仕組みはあったとは言え、カタチだけに近い状態であまり活性化していませんでした。

ところが、少子化や大学のあり方が問われる社会情勢になったこともあって、各大学の危機感は増す一方。そして大学が「幹事」となることで2019年度に新しい枠組みでスタートしたのです。

そして「横断的」に、学ぶ機会、連携、コラボレーション、利害関係もある多様な方々とプロジェクトを推進することにまだまだ不慣れな大学職員の方々も多いということで、設立当初よりリカレントカフェ(社会人向けの生涯学習)を一緒に企画したり、登壇したり、アドバイス等をしてきました。

1年間やりながら見えてきた課題が「組織の枠を飛び越えて、対話しながら新しい取り組みをつくっていく」がなかなかスピード感持って進められていない。ということで、まずは各大学の職員や教員を中心に「ファシリテーション」を学んぶ機会を持とう!というアイデアになりました。

対話とファシリテーションを学ぼう!

本来は2020年3月に開催予定だったのですが、コロナの影響もあり延期。同年10月30日に「オンライン」での開催となりました。その、「対話の生まれる場のつくり方、ファシリテーションの入門編」の研修の講師を務めました。

最後に集合写真をパシャリ!

オンラインになったことで、当初の内容から少し修正したプログラムにして、「体験しながら学び、体験したことを言語化しながら実感する」ファシリテーションの研修となりました。

参加したのは、(全15大学ではないけど)各大学の職員、福岡市職員、小学校の教員、中学校の教員、大学の先生、子どもの教育に携わるNPOの職員などが集まり、「過去に例のない、横の繋がりも一気につくれる場になった」とのこと。

・なぜ、対話が必要なのか?
・対話があると何が違うのか?
・そもそも会議や話し合いがなぜ対話的にならないのか?
・ただの報告会じゃない会議をどうつくる?
・対話があるとなぜ生産性が上がるのか?

午後の3時間で、しっかりと体験し、体験したことを自分の言葉で言語化し、何を学んだのか?をふりかえりまでしっかり行う研修ができました。

今回、導入として福岡中小企業経営者協会の常務でもある古賀正博さんとともに「なぜ対話か?」についての対談時間を設け、思考の幅を広げ、深めやすいキーワードが多く出てくるようにしました。

ファシリテーションで大事なポイント

「対話のある場」をグループ(オンラインではZoomを使用し、ブレイクアウトルームを活用)で体験してもらい、その体験がなんだったのか?全員で言語化し、ふりかえりを行いました。

そして「今の体験がなんだったのか?」の解説で、ファシリテーターの仕事として大事な要素は

①環境・条件を整える
②問いの設定
③可視化する

そして、対面のグループワークだと「繋がり」ができやすいのに、オンラインのグループワークはなかなか「繋がり」にまで発展しにくいという課題があったので(5感を使って情報共有するか否かで、相手との信頼関係構築にかなりの差が出る)、研修の最後の終わり方はZoomの機能のブレイクアウトルームを使って「グループ」に分かれて流れ解散をする、というので終わりました。

終わったあとに各方面から声が届きました。

・1つ1つの設定にちゃんと意味があった
・これまでの会議や話し合いの何が課題だったのかが明確になった
・可視化の意味と活用方法がわかったのでさっそく活用したい
・終わりのグループに分かれたことで、その後もやりとりが続いている

複数の組織の、多様なポジションや職種の人が集う「プロジェクト型」の仕事のスタイルは、これからの時代まだまだ増えることでしょう。その中で、上手く参画を促し、お互いが持っている資質とリソース・智恵を最大限引き出して、お互いで構築しあいながら「カタチにしていく」ためのコミュニケーションの技術。

それがファシリテーションです。

この技術はますます重要になりそうだと感じた研修でもありました!今後、各大学間でのやりとりが活発化しそうだ、という声もあり、この輪がもっと広がると福岡がよりよい街になっていくことも感じられる場となりました。



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