2015年、国連で加盟国が全会一致で可決した「SDGs」。2016年にはまわりでこの言葉を知っている人は全くと言っていいほどいませんでした。北九州市立大学の特任教員として「ESD」、持続可能な開発のための教育、つまりSDGs的なことを教育普及したりプログラムつくる教員も複業として行っていましたので、SDGsは自然発生的にすんなり入ってきました。
そして2019年、ようやく日本中が言い出したことや、地方創生がSDGsと結びついて展開していることも含め、SDGsという言葉を見ない日がないくらい、いろんなところで言われるように。僕もリュックに付けているバッジを「あっ、SDGsですね」って言ってくれる人がようやく出てきてる実感があります。
2019年初旬、突然経産省・九州経済産業局からこのブログでお問合せをいただき、SDGsについてヒアリングをしたいというお話をいただきました。
2019年2月には、福岡市科学館でJSTの事業でもあった「SDGs×福岡市科学館―みんなで考える未来のくらしのつくり方―」を企画から登壇者キャスティング、タイムスケジュールの設計、対話の場づくり、ワークシートの制作、パネルディスカッションの登壇まで全部やってしまうというお仕事もさせていただきました。
九州SDGs経営推進シンポジウムが開催
経済産業省・九州経済産業局が主催のこのシンポジウムは、「九州SDGs経営推進フォーラム」というプラットフォームを設立するためのキックオフ的なイベント。そんなプラットフォームが設立するというお話はお聞きしていましたが、イベントの登壇者がSDGパートナーズの田瀬さん、福津市副市長の松田さん、YOUIの原口唯ちゃん、という2月の科学館のときにいたメンバーだ!(唯ちゃんは一般参加してた)と興奮し、参加してきました。
参加したら配布物に「九州SDGsアクションガイド」という、九州中の企業のSDGsアクション事例が載った冊子があり、その中に自分が載っていることにビックリ!(そうか、あのとき言われてたのこれか~と繋がる)。
それがこちらです。
こちらに全文テキストを載せておきます。
SDGsに至った文脈を理解して行動することが大事
福岡テンジン大学 学長 岩永真一さんSDGsに至った文脈を踏まえて行動すべき
SDGsの考え方は、基本的に貧困と環境問題から来ていると思います。これまで分断されていた課題が、悪い方向に一気につながってしまい、世界が一つの目標に向かわないと、このままでは臨界点を超えてしまう。そうなってしまったら、地球は持続可能じゃなくなるという問題意識から始まっています。
そうした中で、SDGsを推進しようとすると、17の目標と169のターゲットに目がいきがちですが、それに至った世界の文脈を理解して行動することが大切です。世界がなぜSDGsに取り組むに至ったかの経緯を、きちんと理解して、世界が向かっているベクトルに会社の未来をどう乗せるかということを考えて行動しなければなりません。そうでないと、今取り組んでいることの本質が分からなくなり、SDGsが中小企業にとって使えないものになってしまいます。
また、経営者が文脈を語っていくことで、従業員が会社がきちんと未来を見据えているし、持続可能な地域や社会、地球のことをきちんと理解しているのだな」と考えるようになり、従業員の会社へのコミットメントが高まるといった効果が期待できます。中小企業ほどSDGsに取り組む意義がある
これまでSDGsを企業理念に盛り込んだ経営者はあまり多くないでしょう。だからこそ、経営理念にSDGsを実装することで、自社ブランディングにつながり、世界の潮流をよく知り、持続可能な視点を持つことがアドバンテージとなる。そして何より、企業の社会的使命と自分の価値観を合致させることができる人材にとって魅力的な企業になります。ジェンダーへの取組がレバレッジ・ポイントになる可能性
日本社会の多くの課題は女性問題、ジェンダーギャップに関連していると思っています。女性が社会的役割を持ちつつ、男性・女性にかかわらず活躍できる環境になると、それに紐付いている色々なことが好転するのではないでしょうか。
上場企業を対象としたある調査によると、女性役員がいる会社のグループは、女性役員がいないグループに比べて業績が良いとの結果も出ています。一方で、日本の働く男性の育児・家事への参加時間は低いとのデータもあります。ジェンダーの問題は、多くの企業がすぐに取り組めることです。SDGsを進めていくうえでのリバレッジ・ポイントとして前向きに捉えて欲しいと考えています。
僕はSDGsから日本の未来を見るのではなく、日本の未来・企業の未来・地方の未来を見ていく中でSDGsがどう絡み・役立ち・意味があるか?の視点でお話したことを書き起こしてもらったと記憶してます。
中小企業にとってSDGsを経営のど真ん中に持って来ることは、旧来型の組織風土であればあるほど痛みを伴うのは事実ですが、生産性が上がり従業員のエンゲージメントが上がり、その先には売上や経営者としてのレベルアップ、事業の多角化やイノベーションなどの恩恵がある(少なからず可能性が増す)、と思っています。
今後、多くの中小企業(とくに経営者)がSDGsと向き合い始めたとき、頭を悩ませるのではないかと思っていますが、九州SDGs経営推進フォーラムが設立され、少しでも九州という地方に僕も貢献できればと思っています。