「2018年問題」という言葉を聞いたことはありますか?2018年より大学に入学する年齢、18歳の人口が一気に減少を始めるのがこの年なのです。あと3年、もう待ったなしですね。
地方国立大学も迷っている
2月末に新潟で開催された産業界GPの事例発表会と、サテライトキャンパスサミットでは、僕の北九州市立大学(10大学の文科省大学間連携共同教育推進事業)の他に、長崎大学・岡山大学・山形大学が参加していました。(新潟県内の大学除く)
岡山大学の先生は、以前は熊本大学にいたそうで、大学生に地域活動の体験学習プログラムを推進することをやられていて、大学内に地域活動センター的なものをつくっていく仕事をやってこられ、岡山大学に呼ばれて赴任したそうです。山形大学の先生は、コンソーシアム(域内大学間の連携・講義の単位を交換し合えるようなこともある)も担当されていて、サテライトキャンパスに関わっていた方です。お話を伺うと、国立大学なのに2018年問題はリアルな問題で、学生を、しかも優秀な学生を獲得できなければ、経営が危ない!自分たちの仕事も危ない!という危機感を持たれていました。
しかし、大学の教授と呼ばれる方々は、「教授会」という組織があり、いくら学長でも「教授会」がNO!と言えばできないものはできない、というくらい権力のある組織のため、危機意識を持っている先生も少ないとかで。
そんな中、文科省はコトの重大さを把握しているため、どんどん課題を投げかけてくるそうです。競争原理を取り入れて評価が高いところへ予算を回すような仕組みを作ったり、東大・京大などエリート校はグローバル&研究に特化し、地方国公立大学は日本の産業界ニーズに合う人材育成をする、いわゆるローカル人材の育成に特化させようとしたり。
そんなこんなで、現場含めて今、地方国立大学でも今後の方針がバラッバラで、揺れているのを感じました。
急ピッチな大学改革!
地方国立大学はまだマシです。その地域で1番であり続けるポテンシャルありますし、なんと言っても国立ですから。それより、専門分野(医療や福祉など)に特化した大学ではない、総合大学系の私立大学がすでに黄色信号のところが多いそうです。
なので、「教授会」の権力を下げるために学長権限を強くするような動きが昨年起きました!
2014年6月20日、参議院本会議において、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が可決され成立。これは学長に独裁的な権力を与え、大学の自治と教育・研究の自由を奪うものと批判されているが、この法改正が実体化されると、自治の基盤である学部制さえも解体され、大学が徹底的に企業に奉仕する新自由主義的再編が急速に展開することになる。
季刊・現代の理論「明治以来の大学自治が崩壊の危機に」より
これにより、学長・副学長や現場で危機感の強い先生たちが動き始めています。文科省が示す「地方国公私立大学はローカル・産業界人材育成に特化」の方針のため、いわゆる「社会人基礎力」の高い人材育成に舵を切り始めています。(この社会人基礎力という言葉は、厚労省がつくった)
そのモデルになっているのが、北九州市立大学の地域創生学群です。
▼北九州市立大学・地域創生学群|教育課程・教育方法の特色
http://www.kitakyu-u.ac.jp/subject/regional/characteristic.html
この学群(いわゆる学部)のやり方をモデルに、この春、高知大学が「地域協働学部」なるものを新設しました!
▼高知大学・地域協働学部ホームページ
ホームページもオシャレだし、テーマは「産直教育」だそうで!
「県全部がキャンパス」というワードも!!
まさに「街がキャンパス」のテンジン大学と一緒です。このような動きが、地方国公私立大学に広がっています!!ここ九州でもすでにいくつかの大学が北九州市立大学・地域創生学群に視察・相談し、新設学部に向けて動いているとか。大学教育は改革まっただ中です!
文科省も大学教育に限らず、生涯教育(社会教育とも)はネットワーク型で、という文脈を発信しはじめており、これはどういうことかと言うと、まさにテンジン大学のような「街をキャンパス」にして、ネットワークによる学びの場の創出、みたいな話です。
ここ福岡では九州中から若者が集まり、人口が増えていますので、、本物の大学にはまだ動きが見えませんが(足元では動いているかもしれません)、実は若者人口はすでに減少に転じており、地方よりその動きがまだ遅いため、危機感がないように思います。が!必ずこの波はやってきます。
もしかしたら、テンジン大学が培ったことが、今後、教育のいろんな分野で役に立つかもしれませんね!そして僕を北九州市立大学・地域創生学群へと引っ張っていただいた方の先見の明はすごいと思います。おかげで、ものすごく勉強になっています。