これまで地方創生関連のお仕事で、いくつかの自治体・地域へ行きワークショップをする機会もありました。その中で、「その地域の魅力は?」と聞いてほぼ必ずと言って良いほど出てくるのが「食が美味しい」とか「人が良い・温かい」です。もうこれは日本という自然環境や、これまでの日本人が培ってきた食文化の蓄積が、国の隅々まで行き渡っている証拠なんでしょうね。
でも一方で、「移住促進」や「若者の流出を防ぐ」なんかの目的で、「地域の良さを再発見」なんかの動きが2010年以降、いたるところで見聞きするわけですが。ところで、あたなが住む都市や地域の“らしさ”ってなんですか?そしてそれは、どこからやってきて、どのように作られていったものですか?
天神のまちづくり×REC COFFEEの企画
福岡市の都心部に、REC COFFEEというカフェが数店舗あります。今では東京にもお店があります。その創業者をお迎えして、「天神のまちづくり」と掛け算した交流型イベントが、We Love 天神協議会にて開催されました。
どちらかというと企画者側(この企画の言い出しっぺは、大丸のTさん)で、当日のプログラム案やワークショップデザインを行い、当日の進行と、「天神のまちづくりの背景」をプチ講演させていただきまして。さらに、福岡で生まれのREC COFFEEの創業者であり代表の岩瀬由和さんとのトークセッションと、岩瀬さんが直々に淹れてくれるスペシャリティコーヒーを「飲める」、けど「飲んで一言」言うという役割な場が、12月1日の夜にワンビルでありました。
冒頭、「天神のこと、好きですか?」という1枚のスライドを提示。

その後に、天神の成り立ちや天神の発展について話題提供して、最後に「We Love 天神が掲げる“We”ってなに?」と。これを1人1人が考え、意識したり行動していくことで、より良い天神が出来ていくよねって話をしたわけですが。
話しながら思いました。約20年前は、確かに「We Love TENJIN.」って人は多かった。でも今は??なんか昔より減ってない??って内心引っ掛かりました。
誰も調査してないので感覚知ですが、昔の天神を知ってる人ほど、「(再開発により)天神は変わってしまった」発言が出てきます。
再開発は、そのまちで過ごした想い出や文脈が蓄積された「場所が消える」ので、確かに市民に嫌われやすいのは分かります。そして現代の再開発が、稼ぐ床面積に最適化されていくので、天神の象徴とも言える「イムズの吹き抜け」や「アクロスのステップガーデン」のような、空間を贅沢に使った建築はおそらく二度と起こらないし、新しいビルは見た目では個性的にもなりづらい。
福岡の“天神らしさ”って?
では、「天神の風景が変わる」というのは、天神の“らしさ”にどんな影響与えるのでしょう?
We Love 天神が掲げる“We”ってなんなんだろう?
そのWeに、入ってない人や会社の割合って、立ち上げ当初より増えてない?
って思います。
2004年に大学を卒業したときに、ほぼフリーター同然で夢も目標もなかった自分が、天神での活動や出会いによって、約20年間くらい育ててもらった「天神のまちの発展」は嬉しいです。
ですが、その発展にフリーライドする人が増えたり、WeがWeじゃなくなっていく感覚は、まるで「自分のアイデンティティが無関心に・無残に扱われるような感覚」にも似ていて、とても悲しく感じたりもします。
まちと人の「アイデンティティの重なり」がどれだけあるか?
再開発によって、想い出や想いある場所が消えていくことへの嫌悪感って、まるで「自分のアイデンティティの一部が消えていく悲しさ」と同じなんだと思います。ということは、天神における“らしさ”って、天神のまちが持っているものではなく、「まちと人との関係性」の中に存在するものなのかもしれません。
ということは、関係性が浅い・薄い人にとっては、都市もまちも地域での過ごし方って、どうしても「何を買った、何を食べた、何を見た、何を体験した」という「消費行動」でしか関係を作りにくい。
人にとって、新しいまちであればあるほど、関係の糸は少なく、“らしさ”を感じることもない。
転入者の多く、住民流動性の高い福岡は、まさに消費に最適化されてきた都市で、実は歴史的にも港町で「立ち寄り、また出ていく土地」でもあり、そのような文化(まるで屋台のような、初対面でも陽気に接したり、おもてなししたり、自慢したり)が作られていきますよね。
では、偶然にもこの文をここまで読んだ「あなたの住んでいる都市や地域」の“らしさ”って?
地域づくり・まちづくりは多様な人たちの対話から始めよう
これまで、いろんな自治体や地域に呼ばれて、地域づくりについての講演やワークショップなどをさせていただく機会に恵まれました。そこで、一番「あぁ、このまち“らしい”ってこういうことなんだろうな」と感じるのは、若者から高齢者まで、性別も職業も混ざって、移住者も観光で来る人も一緒に、「その土地のことについて、語り合う場」です。
その土地のことに詳しいベテランが歴史を語れば、若い人は飲食店や食べ物を推し、古くなったモノを憂う高齢者もいれば、レトロさがおもしろいという移住者もいる。混ざることで、対話し合うことで、その土地が持つ様々な文脈を「共有しあう」。
すると、人とその土地との関係の糸が増えていく。ここに「らしさ」が蓄積され、その「らしさ」を行政も市民も資本として活用していくことが、まちづくりであり、地域づくりなんだと確信します。
まず、対話から始めましょう!









