働き方・ワークスタイル

福岡市科学館の運営方針~サイエンスコミュニケーション開発会議~

福岡市中央区六本松の九州大学跡地の再開発の目玉でもあった「福岡市科学館」は、2017年秋に開館。その約1年前に、凸版グループのトータルメディア開発研究所という、日本全国の博物館・美術館・科学館等の設計から運営までを手掛ける企業から相談があり、福岡市科学館コーディネーターという肩書で、開館前後の「広報/イベント」等を展開する仕事を2年間ほどしてました。

福岡マラソンとタイアップしたイベントをしたり(※1)

DX大賞も取ったホームセンターグッディの柳瀬社長に来てもらったり(※2)

その2年間の集大成は、2019年2月に開催した「SDGs×福岡市科学館―みんなで考える未来のくらしのつくり方―(※3)」をしたり。企画・ゲスト選定・調整・登壇・ファシリテーションまで、ちょっと全部やりすぎでしたが、非常に有意義な楽しい場をつくらせてもらいました。自身のネットワークや企画コーディネートのスキルを活用できる、非常に楽しいお仕事でした。

福岡市科学館の運営とサイエンスコミュニケーション開発会議

福岡市科学館はPFI方式の運営をしており、その運営主体者がトータルメディア開発研究所になります。

PFIとは、公共事業を実施するための手法。民間の資金・ノウハウを活用し、公共施設等の設計・建設や維持管理・運営を行う公共事業の手法。

福岡市は15年間の運営をトータルメディア開発研究所に委託しており、トータルメディア開発研究所は計画として15年間を5年ごとの3期に分け、それぞれでビジョン・目標を掲げて運営しています。その立ち上げの第1期にコーディネーターとして関わったことがキッカケで、このたび、第2期の「サイエンスコミュニケーション開発会議(※4)」の委員に2023年度より声をかけていただきました。

福岡市として科学館は公共事業でもあるため、必ず外部評価委員会を設置。それとは別に、トータルメディア開発研究所として「運営方針」を外部の各専門家の目線から明文化していく独自の仕組みで、民間企業に例えると「社外取締役や顧問的立場でモノを言う」と捉えてます。

このサイエンスコミュニケーション開発会議は第1~4分科会まであり、全体で福岡市科学館の掲げるビジョン「人が育ち、未来をデザインしていく科学館」と、コンセプトである「サイエンス&クリエイティブ FUKUOKA」(科学と感性の交流拠点として福岡から未来を創造していく科学館)を追求。

自分は第4分科会「ブランディングの確立によるイノベーションの創生」の委員で、かつ有識者の皆さんと科学館を接続するメンター的役割で会の進行を担います。

ブランディングに向けたリーダー研修の実施

第4分科会とは言え、年に数回の議論の場しかない中で、確実に議論を進め、目的に向けた(科学館としての)アクションプランにまで落とし込みやすいよう明文化していかなければなりません。会の有識者の皆さんの意見をもとに、方向性をまとめ、編集しながら言語化していく。ファシリテーターのスキルが培われるというか、こういう場面で発揮されるのは嬉しいです。

そして「ブランディング」は結局のところ、科学館がアウトプットするすべてのアクションに紐づくものであり、結局のところ、科学館スタッフが体現者となるわけで、「組織としてどれだけビジョンが浸透し、理解され、普段の業務で意識されるか」に収れんされていきます。ということで分科会の中で「スタッフ研修が肝になる」となり、結果的に・・・コミュニケーション力向上・傾聴や対話スキル向上のリーダー研修をすることになりました。

2023年11月にリーダー研修を実施。もともと開館当時から知っているスタッフもおり、親近感もある中で研修を開催。短い時間でも各現場のリーダーの皆さんが「チーム内での権力較差の是正と、コミュニケーション量の増加」を起こせば、エンゲージメントの向上が見込めるはず。

福岡の都市における科学館という機能の可能性

福岡市博物館の協議会委員や、福岡市都市景観審議委員、福岡市NPOボランティアセンターあすみんの評価委員などを現在務めていて、過去にも福岡市総合計画審議委員や福岡市環境教育政策委員なども経験してきて、いわゆる「外部の目線、市民の目線、専門家の目線から政策についてアドバイスを言う」という立場を経験してきました。

他にも小さな、でもまちづくり・ひとづくりなども手掛ける不動産会社の社外取締役ではないけど、実務はあまりしない社外社員のような仕事もしています。

この「外部の目線からモノを言う」というのは、ある意味無責任なことも、夢物語も言えるのですが、上記のリーダー研修を自ら進んで実施したりするように「外部の目線だけど、現場にも落とし込んでアクションしやすいようにモノを言う」というのを、自分は官でも民でもこれまで行ってきているのだろうな、と思っています。それを仕事としてできているのも、「様々な分野に跨って蟻の目・鷹の目の視点でモノゴトを捉え発言するクセ」が年齢とともに開花してきたのかも?なんて思っていたり。

福岡市科学館から声をかけられ、第4分科会のファシリテーター的な役割もいただき、そして福岡市民でもあり、子どもたちも科学館を利用する側でもあり、開館当時も関わっていたという「複数の視点」を持ち込めるというのは、意外とできる人はあまりいないのかもなーと思ってきています。

そして自分に与えられた使命感みたいなものを自分自身で言語化していくと、「福岡市科学館が、福岡という都市において、どのような機能を果たせるのか、果たしていく必要があるのか」ということを真剣に議論しあえることを嬉しく感じたりしています。

福岡市科学館のほんの一部かもしれませんが、“これから”を担う役割を、今後も楽しく全うしていきたいと思います。

<参考リンク>

※1:走れる身体をどこからつくる?~栄養科学で福岡ライフをもっと楽しく!~

※2:AI × ビジネスの最前線!~福岡で広がるAI活用で未来の仕事はどう変わる?~

※3:SDGs×福岡市科学館―みんなで考える未来のくらしのつくり方―

※4:議事録:福岡市科学館・サイエンスコミュニケーション開発会議



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