2025年の1年間を表す漢字が「熊」になりました。毎年、京都・清水寺で大きな筆で書かれる漢字一文字。確かにマスコミでは連日「熊の出没・被害」が目に付きましたけどね。でも水面下では、やはりAIの浸透がすごい1年だったのではないでしょうか。
・新人の採用が止まり始めた米国
2023・2024年ごろまでは、まだまだ実用レベルまで上がってきてないAI観でしたが、今年は早い段階から「AI、すごいよ」という声を聞くように。2025年11月15日の日経新聞の記事に「米国の大卒就職、26年はコロナ禍以降で最悪の見通し AI導入が背景」と出たときには、もうすでにビジネス界隈では知られた現象になっていたくらいのニュースかと思います。
参照)米国の大卒就職、26年はコロナ禍以降で最悪の見通し AI導入が背景
ホワイトカラーの多くは「頭脳労働」に従事するわけですが、オフィスワーカー、いわゆる「情報を右から左へ、加工・編集しながら回す仕事」は、まさしくAIが得意な領域。その中でも、割と新人や若手に「OJTや育成兼ねて、実務経験として与えていたタスク」が、こぞってAIが奪うような世の中になりつつあるのを感じます。
・一人でリサーチから企画・提案・計画立案までできる
だって、自分でも「企画書かこう!」「ちょっとリサーチしてみよう!」の労力が、2025年に入ってAIのおかげで各段にスピードが上がりました。アンケート調査だって、「知りたいこと→仮説」さえあれば、AIに聞くと「設問文の作成」から「選択項目の案」まで、見事に作ってくれます。あとはアレンジして、フォームを作成すればアンケート完成!さらに回答データを渡したら、数秒で分析までやってくれます。最高かよ。
で、今年の福岡テンジン大学の15周年は、ふと「自然の土と人間のアイデンティティについて、深掘りするような展示会×交流会をしたいなー」と思い、約1カ月間のAIと相当な文量のやりとりを重ねて、展示会の展示物(パネル)の制作も、ほぼ一人でやってしまいました。

※福岡テンジン大学15周年の告知用のチラシ
AIすごい、これはもうAIを学ぶことに集中すればいいんじゃない!っていう話やSNSの投稿が、だいーぶ増えた1年でもあったわけですが、自分はちょっと懐疑的です。
・「問い」を持てない人間にできることは少ない
AIはまだまだ発達段階、今後フィジカルAIも出てきたら、さらに様々な仕事が代替されていくことが予想されます。人口減・現役世代激減な日本においては、むしろAIやロボットの普及は救世主でもあると思います。作業的な仕事、いわゆる技術的課題が次々にテクノロジーに置き換えることができても、人と人の間に起こる感情の絡む仕事、いわゆる適応課題はテクノロジーだけでは解決の難易度が高いという問題が、これからどんどん焦点当たってくると思います。
ここ100年は、産業革命や国家概念から来る「教育」が、技術的課題を解決するための「技術」を使いこなすための知識を学ぶものが多いカリキュラム構成になっています。一方で、自殺やうつ病、差別など、適応課題のようなものを解決するための知識って、どれだけ学んできたでしょう?
もちろん「技術」である程度解決しよう!というビジネスも近年は盛んで、科学も相まってビジネス的手法で社会課題解決も行われる時代になってきました。
では、それらを「課題として設定」し、どこにボトルネックがあるのか、どこがレバレッジポイント(てこの原理の力点)になるのか、「解像度高く」リサーチして、解決に向け技術を交えて事業やプロジェクトをつくっていくのが人間の仕事になるわけですが。
上記の「課題を設定」と「解像度高く」はセットで、これらは人として様々な視点や、多様な価値観への理解、思考の幅、を持っていればいるほど、「良いアウトプット」ができるようになります。まさに、新人や若手は、この「課題の設定」や「解像度の高さ」が身に付いてないので、AIの使いこなしも甘いし、AIのアウトプットがそもそも理解できなかったりするわけです。
・AI時代こそ多様なプロジェクト体験をオススメ
プロジェクトには様々な要素があり、これを主体性持って活動すればするほど、様々なことを経験できます。大学4年生まで、2004年の卒業の間近まで(いわゆる学外活動を)ほぼ何もしなかった自分が、就職氷河期もあって内定取れずにフリーターで社会に出た自分が、20代後半で独立起業し、40代の今はグローバル企業や上場企業、自治体や大学、地元の企業やまちづくりなど、大小様々なセクターからお声がけもらうようになった最大の理由こそ、「プロジェクトの経験値」と確信持って言えます。
もちろん、プロジェクトにも様々あり、プロジェクトの中での役割も様々なあります。大阪・関西万博の中のパビリオンのいちキャスト、という経験もプロジェクト経験と言えますし、地域のゴミ拾いボランティア活動を立ち上げ、定期的に活動していくこともプロジェクト経験。
大事なのは、これらの体験を「様々な角度からふりかえること、問いを自分に投げかけ、探求して言語化すること」です。例え1週間のスポットアルバイトだったとしても、以下のような問いを持てると、各段に経験が「自分の糧」になります。
- なぜスポットなのか
- この業界は今、どういう状況なのか
- なぜこの場所なのか
- なぜこのようなチームで、このようなことをやるのか
- 自分はどのような役割なのか
- 役割を越えて動いたら、より良い成果は出るのか
- 1週間で得たコトは何か
- 1週間を終えた今、1週間前に戻ったら、どこまでやれるか
これって「問いを持つ」ことができれば良いので、再現性が高いです。誰でもできます。でも実際は、このような適応課題に向き合うような学び方が、あまり義務教育課程にも高等教育の中にも、ビジネスの組織の育成の中でも、浸透はしていませんけどね。
・割に合わないプロジェクトをやってみよう!
で、最大にオススメしたいのは、他の人がほとんどやろうとしない「お金をもらわないプロジェクト経験の長さと幅」です。いわゆる「割に合わないこと」。
お金をもらわない、いわゆる給料や報酬がない、あってもわずかなどのプロジェクトは、そもそもやる人が少ないので「貴重な経験」になります。さらに1つでもやらないのに、幅を持たせたり、長く続けてみること。もうそれだけで、100人に1人どころか、1万人に1人、100万人に1人の逸材になれます。
あとは、既述の「問い」とセットで経験を自分の糧にすることができれば、「課題の設定」や「解像度の高さ」が自然と身に付いてくるので、AIを使いこなし様々な仕事を抽象度高く捉えたり、いち個人ではなく組織やチームで仕事を進めることもできるようになる、いわゆるリーダーシップやマネジメント力も身に付いています。
コスパ・タイパと言われる時代に、あえて「多様なプロジェクト経験」を、一歩アクセル踏み込んでやってみる経験、激しく推したいです!









