地域・まちづくり

ファシリテーターと地域づくり人材~総務省のヒアリングから考察~

2026年が始まり、総務省が行っている「地域づくり人材の養成に関する調査研究会」の対象が「福岡エリアでの地域づくり人材」になり、ヒアリング対象となったため参加してきました。

 

地域づくり人材とは?

地方における人口減少(若者・現役世代の減少)が、地域を担う人材の減少に直撃しております。これからの時代の「地域づくり」は、どんな人が担えるのか?そもそも、地域づくり人材はどうやって現れるのか?誰が育ててるのか?育つのか?そんな再現性があるかどうかもわからないところから、総務省の中で調査研究会が4年ほど前より動いています。

参考:総務省・地域づくり人材の養成に関する調査研究会

この調査研究会が定義する「地域づくり人材」とは?

特定の政策分野(福祉、防災、教育など)に限定されず、地域の多様な関心事に『主体的かつ積極的に関わりを持つ人々で、コミュニティの運営・維持、あるいは活力ある地域づくりを担う人々』を指すようです。

人口減少に伴う地方・地域の高齢化だけでなく、東京一極集中の是正や、地方へ観光を分散させたりの地方創生、地方での伝統行事・文化の担い手不足などで、移住施策が打たれたり、近年では「関係人口」って言われたり。そんな調査研究のようです。

なぜ今年度は福岡が調査対象に?

福岡市を中心とする福岡都市圏は、全国的に見ても大都会。さらに人口も集まって増加しており、人口減少・高齢化の文脈からはむしろ「対象外」のように思います。「地域づくり人材の養成に関する調査」は基本的に、政令市でもない人口5万人や1万人以下の地域において、公私の枠や職業・業界の枠を超えて、地域づくりをしている人材やその養成の仕組みを調査していたようです。

今回、福岡が対象となった理由を明確には聞けてないのですが、話の文脈から以下のように受け取りました。

  • 地域づくり人材が養成される環境に、「人間関係」「ネットワーク」がある
  • 行政(国・自治体)の施策(例えば、地域おこし協力隊)ではなく、行政・民間問わず混ざったカタチで「うねり」が起きた
  • そこに「ファシリテーター」が生まれていく土壌ができた
  • 福岡では、「ファシリテーター」が地域づくりの文脈の色合いが強くなっている

です。

日本ファシリテーション協会なる組織がありますが、東京を中心に大阪・福岡など全国各地に支部がありますが、東京・大阪など都市圏であればあるほど、会員の「ビジネスマン色」が強いそうで、組織開発・人材開発の文脈で語られているそう。しかし、福岡支部ができた当初は「地域づくり・まちづくり」色がかなり強く、そこに福岡市職員をはじめとする行政職員がけっこういたとか。

ヒアリング対象となった福岡の「地域づくり人材の養成」の人物

文脈的に分かりやすく整理すると、2000年に福岡市職員から始まった運動「DNA運動」なる行政改革のような動きが発端となっています。その中心人物で、すでに市職員を引退されている「①吉村さん」。さらにそのDNA運動の立ち上げに関与し、その後の日本ファシリテーション協会九州支部(福岡)が立ち上がり、ファシリテーションを学んだ「②吉崎さん(現役・市職員)」

同時並行的に、福岡市役所で「NPO・ボランティアセンター」が2001年から立ち上げに向けて動きがあり、ここにNPO・ボランティア支援推進専門員として参画し、のちの2004年の日本ファシリテーション協会九州支部の立ち上げを行った「③加留部さん」。その加留部さんを中心に制度設計された福岡市の「共働事業提案制度(市とNPOやボランティア団体が、お金と人を出し合って事業を行う)」が立ち上がり、2期目に提案したのが「④岩永(自分)」で、福岡テンジン大学を提案。その後にNPO法人化したり、天神のまちづくりだけでなく、福岡県内で様々な自治体と取り組みなどが生まれています。

※加留部さんは、総務省・地域づくり人材の養成に関する調査研究会の委員でもある。

日本ファシリテーション協会九州支部が立ち上がったと同タイミングで、人材育成等の仕事をしてのちに独立し、サイズラーニングを立ち上げる「⑤高見さん」。2009年に福津市へ移住し、津屋崎ブランチを立ち上げ、ファシリテーターとして福岡エリアでの地域づくりの活動が広がっていった「⑥山口さん」

2000年から福岡市役所で始まったDNA運動は、全国区の自治体に飛び火していき、当初はDNA運動に関わっていなかった福岡市職員であり、東京での自治体職員向け研修プログラムで「対話」と出会い、2012年の福岡市職員による飲酒事故がキッカケとなって禁酒令が出され、その後に市職員のみのオフサイトミーティングを立ち上げた「⑦今村さん(今は市職員を辞めて独立)」

※参考:福岡市発、全国に広がる自治体職員のTQC運動(日経クロステック:2007/1/26)

2018年に福岡大学より福岡市へ、大学間連携×福岡市×産業界の枠組みの提案「福岡未来創造プラットフォーム」が立ち上がり、福岡大学にて社会連携センターの「⑧山田さん」

最後に、その福岡未来創造プラットフォームが立ち上がったときに、産業界側として福岡中小企業経営者協会の事務局長であったり、その前から九州インターンシップ推進協議会もやっている「⑨古賀さん」。古賀さんはこれまでの8人とは少し毛色が違い、ビジネス・人事畑だったにも関わらず、インターンシップに関係し始めたあたりから大学教育との接点、起業家やビジネスマンが教育現場に出ていく接点づくりから、「ファシリテーション」や「対話」の意味を感じていたそう。

と、こんな9人がヒアリング対象となっています。

福岡の地域づくり人材の養成の要は“ファシリテーション”

今回、対象となった皆さんは自分は全員繋がっており、ところどころでお仕事もさせていただいたりしてきた、言わば福岡のまちで人材育成的なことをされている同志(というか皆さん先輩)です。

全国の過疎が進む、むしろ地域づくり人材が「少ない・いない」地方・地域において、「どうやって地域づくり人材を養成するか?」が本丸であるとは思うものの、総務省としては「地域おこし協力隊」などいろんな施策は打っています。

福岡において、この「うねり」がどのように形成され、またその中心に「ファシリテーション」「ファシリテーター」という技法や職種が存在していた、ということが大事なポイントと捉えることができました。

なんだー、自分はこの「うねり」にたまたま出会って、今こうして様々な場所で「ファシリテーション」を使って仕事したり、地域づくりの支援したりしているのか、と。

問題提起:福岡モデルは他地域に応用できるか?

確かに福岡市役所のDNA運動の勃興や、日本ファシリテーション協会九州支部の立ち上げで、「ファシリテーション」が福岡へインストールされたことの影響は大きく、2011年に「福岡市のマスタープラン策定」には、多くの市職員がファシリテーター役として活躍しており、それが民間へ飛び火して市内各地でワールドカフェというワークショップが開催されました。

※当時、福岡テンジン大学でももちろん何度も開催!

で、この動きや福岡テンジン大学で「人が集まり、企画をし、人と人が刺激し合いながら、まちのことを知り、活動へと繋がっていくコミュニティ」が再現性ないのか?と、実験できる機会が数年前にやってきました。

「大牟田わかもの会議」です。

2022年、大牟田市のまちなか活性化の事業の1つとして、大牟田の若者たちがやりたいことをやり、まちを盛り上げていくようにしたい、ということで立ち上げに関わらせていただきプロデュースしました。

※参考:大牟田わかもの会議

2025年度からは一歩引いて、アドバイザーとしてわかもの会議が今後、市の事業から独立していけるよう、支援する側に回っています。人口11万人の大牟田市で、限られた事業予算の中でも、大牟田わかもの会議へ使えるのも限られていると思っています。

確かにわかもの会議が立ち上がり、若者たちは集まり、まちづくりへの意欲も高く、コミュニティ化もしてきました。しかし、これを継続して「地域づくり人材がずっと生まれる仕組み」かどうか?は、まだまだと思っています。

でも、「自分の地域・まちは、自分たちでつくる」という魂のようなものは、学び合い・磨きあえる“場”はつくれる、というモデルにはなりました。少なからずファシリテーションができる若者もちらほら現れています。

総務省の調査研究というキッカケで、福岡の土壌(ファシリテーション)を再認識することができたとともに、それを横展開していくには、「地域」「人」という変数だらけで難易度は高いものの、可能性を感じた次第です。



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