ファシリテーター

アクティブラーニングにかかせないファシリテーション

先日、福岡中小企業経営者協会の事務所で開催された「アクティブ・ラーニング勉強会」に参加しました。講師は北九州市立大学の見舘先生。僕が特任教員として深く関わっている地域創生学群の先生でもあり、福岡県の高校でのアクティブ・ラーニング導入の顧問的なこともされている先生!集まったのは、主に福岡県内の大学の先生やキャリア系の仕事の方、そして高校の先生。

(その中にちょっと異色な僕も混ぜてもらって。一応、大学教員の端くれなので・・・)

 

2020年問題は日本の何を変えるのか?

全国の大学が2020年問題に向けて動き始めています。来春より入試を変えることを発表している大学もありますし、対応はまちまちです。しかし大学入試へ人を送り出す側、つまり高校や塾は戦々恐々としているわけです。いったいこれから、教育業界はどうなっていくのでしょう?そして2020年を境に、日本社会はどうなっていくのでしょうか?

 

教育の2020年問題とは・・・東京オリンピック!ではなく、センター試験が2020年の1月の実施を最後に廃止です。「大学入試」の大改革が今、始まっているのです。どのように変わるかというと、これまでは「学力テスト」がメインだったものが、「思考力・表現力」や「プレゼン」「人柄」「志望動機」などを見られるものなっていくということ。もちろん従来の「学力」もそれなりに見られるとは思いますが。

 

となると、これまでの日本社会のいろんなものを凝縮してきた「大学入試」が変わるということは、教育以外にもいろんな影響が出てくるのは想像すればするほど・・・ですよね。キャリア形成から、新卒採用、インターンシップ、このあたりはどんどん変わるでしょう。そして今の未就学児たちが社会に出るころには、これまでの教育とは「違う教育」を通ってきた世代が出てくるので、もういろいろ違うでしょうね。

 

 

高校はどんな教育になる?中学は?

大学によってはAO入試を導入し、成功事例をつくり、広げているところも国公私立問わずありますが、AO入試的なものが主流になってくると・・・高校や塾はどう対応してくるんでしょうね?正解のない入試対策として、どんな教育プログラムを高校では組み、先生はそれを教えるのでしょう?

 

すでに福岡県内では、この対策として一気に舵を切った高校も出てきています。冒頭に出したこの図は、ラーニングピラミッドとも呼ばれ、「勉強の仕方をランク付けした」ものです。平均学習定着率とも呼ばれているようです。

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※数値の出典(論文等)は不明ですが、学習が定着するのはおおよそこのような順番となる

 

下の階層にいけばいくほど、その学習方法は「よく定着する」ということ。そしてその学習方法こそ「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる手法で、これらを授業に取り入れた高校が少しずつ誕生、そして増加中なのです!

 

グループ討論はもちろん、自主的に調べたりする行為を促す学習方法が授業でどんどん取り入れられているそう。僕が特任している先生としては、大学生たちに以下のような学習方法を実践してもらっているわけです。

 

★プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)

★サービス・ラーニング(SL)

 

今後は高校、そして中学でもこのような学習方法が広がること必須!

 

 

そこで必要になるのがファシリテーション

従来の教育方法や出題形式は以下のようなものでした。

 

( ① )年に京都の本能寺で、( ② )が( ③ )によって攻め滅ぼされた。

※①~③に入るものとして適当なものを~選びなさい。

 

的なやつです。でもこれがアクティブ・ラーニングになると・・・

 

1582年に京都の本能寺で織田信長が明智光秀に攻められ殺害されました。なぜその事件が起きたのかを、その当時の時代背景や人間関係などを引用し、あなたなりの考えを述べよ。

 

のようになってきます。知識を問わず、「知識をどう使うか、使えてるか」「自分の考えを表現できるか」を問うのです。

 

じゃあ、これをどうやって教えるのか?それで必要になってくるのが、促す人=ファシリテーターですね。

 

グループワークで、役割決めてこの問いに対する答えをつくるのを促す。そんな設計をして、問いかけ、自主的に調べたり行動したり体験したりを促すことができる人、それがこれからの大学・高校・中学の先生たちに求められ始めているのです。

 

が、現実は非常に厳しく、従来の「知識を教える教育」しか教育してもらってない先生たちが、簡単に対応できるはずもなく。これが今、教育現場を戦々恐々とさせているのです。

 

逆に言うと、教育素人とも言えるものの、ファシリテーションや思考・行動の問いかけ設計ができる人には仕事が激増するチャンスでもあると言えますね。

 

僕も小学校から中学・高校、大学、社会人、地域の高齢の方々へ「先生」という立場で学習機会をつくる現場を持たせてもらえているため、このあたりをまだまだ勉強・改善しながら、アクティブラーニングを普及させていきたいですね。

 

テンジン大学で、授業をひたすら作りまくっていたら、アクティブラーニングなんて当たり前のクセになってしまうんですけどね。そんな人もこれからまだまだ増やしていきたいなぁ~。



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