地域・まちづくり

コロナがもたらした分断に“まちづくり”はどう立ち向かう?

この写真は緊急事態宣言後、2020年4月16日の午前11時50分ごろの天神地下街から地下鉄七隈線「天神南駅」を写したものです。歩いている人が10名。九州一の繁華街は今、人がいません。

2006年に“天神”でエリアマネジメントを行う団体「WeLove天神協議会」が立ち上がりました。2004年、天神のまちをそうじするgreen birdに出会い、それがキッカケで天神のまちづくりを行う方々と出会い、その年の秋、天神のサザン通りをメインとした社会実験「TENJIN PICNIC」が開催されgreen birdのメンバーとして関わりました。

それまで知らなかった、バスや鉄道やスーパーマーケットくらいしか存在を知らなかった西鉄が天神のまちづくりのためにいろんなことをしていること。百貨店・商業施設が「繋がり」合って、天神への集客のために協力してきたことを。

就職氷河期の最後の方に大学卒業し、内定ゼロでフリーターで社会に出た僕を、天神での「繋がり」によって見えない資産が蓄積され、今のキャリアを歩けるようにしてくれました。その恩返しのために、天神、そして福岡のまちに「繋がり」を生み出したり強化したりすることで、より持続可能なまちにしていきたい、と思っています。

2006年のWeLove天神協議会が立ち上がって以来14年、「つなぐ」という役割を担ってきて、現在コミュニティWGのリーダーを務めています。

人類が発明した“都市”の機能を破壊したコロナ

人類が農耕を始め、技術伝承のため文字を発明し、より組織が強化され、法典が生まれ、他国との土地や資源や技術の奪い合いの戦争のための防衛が発展し、「都市」が生まれました。この都市では、人々が共同・共有するものが多く、税金により福祉や防衛が国家から成され、「安心・安全」な社会が築かれます。この安心・安全な社会の土台があって初めて、経済活動が上に乗っかり、付加価値が付き経済発展や文化が醸成されていきました。

そして現代、都市は人と物の移動がより高速化したことで「繋がり」を全世界的に広げ、テクノロジーによりお金や情報が瞬時に動き、「都市」はより多くの職業の選択の自由を与え、消費するのにも生産するのにも魅力的な場所になりました。まさに人類が20万年近くかけてバージョンアップしてきた発明品だと思ってます。

その都市が、新型コロナウイルスによって機能不全に陥ってます。人と人、人と物、人と企業、人とサービス、が「分断」され、あらゆる身体性を伴ったものが機能することができず、人とまち、すら分断されています。

さらにこの新型コロナウイルスは、対面による声の掛け合いすらさせてくれません。いわゆるバッタリ会ったときの「あいさつ」、ご近所さんと会ったときの「あいさつ」がしにくい。住宅街における“まち”でも、様々な地域活動の機会を奪い、ご近所付き合いの機会を奪い、あいさつすら奪っています。

人と人が信頼関係で繋がり、コミュニケーションすることで社会を安定させ、経済活動を行えた、消費体験を行えた、交流し意見を交わせ、新しい価値を創造してきた営みを奪っています。

「あいさつ」があることで、繋がっている安心感が生まれ、その地域に住んでいる人々の身体的健康も精神的健康も向上するという、ソーシャルキャピタル分野の科学的研究から見ると、地域やまちから「あいさつ」が減り、外出できず身体的健康も損なわれ、毎日の暗いニュースもあり、人々は不安やストレスにさらされています。

まさに新型コロナウイルスは、ヒトの個体への感染だけでなく、 人と人のネットワークを「分断」し、社会のいろんなものを機能不全に陥らせる感染力を持っていたという意味では、おそらく人類史でみるとペストやスペイン風邪に匹敵、それ以上のダメージを与えているのかもしれません。

ウィズコロナにおけるまちづくりの行方

現在は先進国を中心に都市封鎖(ロックダウン)が起きていたり、外出禁止や自粛状態にある人口は、全世界で40億人ほどいるそうです。ハーバード大学の発表では2022年ごろまで、この状態が続くとか、治療薬もワクチンも、まだ明確に期待できるニュースは入ってきていません。

一方で、経済をこのまま崩壊させてしまうと、コロナで死亡する人口以上の不幸が訪れるという議論から、一番感染者も死亡者も多いアメリカが経済活動再開の情報も出始めています。さらに、各国の抗体検査から、実は無症状で感染していたという人が想像以上に多い(現在の感染者の50倍とか80倍とか)というニュース記事も出てきています。

とは言え、これだけの無症状・軽症者の感染者がいて、感染力も強いウイルスは「消滅」させるのはほぼ不可能と個人的に思っていて、アフターコロナではなくウィズコロナの社会が続くと思っています。

そうなると、新しい枠組み・構造で経済が再構築され、人や物の動きが変わっていく可能性が高そうです。その中で社会そのものも変わり、都心も住宅地も「まちづくり」は新しい形をデザインしていく必要性があります。

一番は、高齢者ほどリスクが高い。オンラインでもかなりのことができる。これを前提に、若い人に権限移譲や積極的に外で活動してもらいつつ、オンラインでしっかりと関係性繋いで意見交換し、その「まち」に関わる多くの人の「繋がり」をつくることがとても重要になります。

繋がりと交流の中で、オンラインも活用して「知」を共有し、「信頼関係」を可視化して増幅することで、まちづくりにいかしていかなければなりません。

残念ながら、ビフォーコロナの世界にはもう戻れないと思っています。ウィズコロナの世界に向けて、新しいまちづくりの模索へチャレンジしていくところと、高齢者中心に怯えながらビフォーコロナ時代のやり方を続けていくところとで、大きな差が出そうです。そして、そのまちや地域のリーダー(多くは首長)によって、その差がかなり開いてしまいそうな気もします。

そしてもう1つ。その“まち”のことが本当に好きで、誇りを持っている「市民」がいるかどうか。分断を超えて、繋がりあって、境界線をはみ出していける文化や空気をつくれるかどうか。活動が起きるか、支援できるかどうか。そして勇気をもって行動する「市民」へ喚起できるかどうか、が鍵になると思います。

ありがたいことに、こんなご時世ながら来年の令和3年2月に「まちづくり」テーマの講演の依頼をいただきました。まだまだ時間があり、刻一刻と変わる中で、どんな話を当日できるでしょうか。

そして僕が最も恩返ししたいと思っている、この福岡、そして天神のまちへ、「繋がり」を取り戻す、関係性をリデザインしていく動きを始めていこうと思います(WeLove天神協議会と福岡テンジン大学で)。



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