テンジン大学

ウィズコロナの世界で、ぼくたちはどう生きるか

2020年が始まった当初、中国国内で起きている大惨事はどこか他人事でした。2月前半、中国からの帰国者の感染確認が続くも、医療機関への負担など誰も語っておらず、またこのウイルスに対する情報もまだまだ出回っていませんでした。

2020年4月7日現在、いよいよ日本でも7都府県で緊急事態宣言が発令し、ここ福岡県も速度の付いた感染と、複数の医療機関でのクラスター発生のため、対象地区となりました。この日を境に、あらゆるものが確実に“変わる”であろうため、そしてもう元の世界には戻らないとも思っているため、少し書き残しておこうと思います。

新しい繋がりをどう築けば良いか

もはやビフォーコロナの世界が懐かしく感じる。冒頭の写真のこちらは、2020年4月4日(土)、3月に福岡テンジン大学の授業ができず集まれなかったことや、4月25日(土)の授業も開催中止を決めていたため、「オンラインに慣れるために、ちょっとオンラインで集まって雑談・近況報告でもしようよ」と2日前に企画が立ち上がり、こんなにも集まりました。

Zoomの画面をスタッフのあかねちゃんがイラスト化してくれた

複業で多様な業界・職種の仕事をしていることもあり、複数のコミュニティに所属をし、いくつかのコミュニティでは代表的なポジションにもいるので、メッセージングアプリを使ってコロナ対策についてを2020年3月はたくさんのやりとりをしていました。

もともと持っていた“繋がり”という見えない糸と、時と場所と形を変えながらも社会的・経済的な活動を継続してきた中で、互いに蓄積をしていた「信頼」「信用」があってこその、連帯感や不安解消のためのコミュニケーションが取れたりもするなと、この日の集まりで元気を分かち合い感じました。

でも・・・

今まで“繋がり”を上手く蓄積してきてなかった人は?

つい最近手放したり、断ち切ったり切られたりしてきた人は?

これから新たな社会や新たな環境、学校に出ていく人たちは?

対面で大声で笑いあえたりする飲み会の席も、もうしばらく体験することができないでしょうし、顔の表情が2分の1ほど隠れるマスクをしてのコミュニケーションが主要になってしまうことで、ますます目を合わせざるを得ず、対人対面が苦手な人なども含め、これから新たに「人間関係をつくっていく」のはどうすればいいのでしょうか?

これからの働き方は、仕事はどうなる

複数の業種・職種の仕事を持つ複業家のフリーランスという働き方をしているので、普段より「短時間で生産性高く」「場所に制約されない仕事を」と、リモートワークもオンライン会議もやっているので、今日現在では特段働き方に大きな変化はありません。

2月中旬には感染拡大を見せ始めていたこともあり、いずれ福岡市内でも感染者が出ることを想定し、情報収集をかなりの時間とってやっていました。

毎日・毎夜、空いた時間、スキマ時間に情報収集しつつ常に思考をフル回転させ、兆候をつかむために学習三昧。空気が変わった瞬間は、総理の「小中高の休校要請」が発令されてから。

それと同時に、無症候性感染者がかなりの数いること、感染しても潜伏期間が長く、治療にも時間がかかることから、「これは世界中に広がるだろうな」「自分もいつか感染するだろうな」という認識を持っていました。なので個人的には「怖くない」なんてSNSでも発言したりしていたのですが。

ところが、このウイルスが世界各国へと広がり、欧米で見られる医療崩壊の現状を目の当たりにすると、このウイルスの“本当の ” 怖さを思い知ることになりました。医療現場に相当な負荷がかかることで、連鎖的に崩壊していくこと。

3月28日、現状と思考の整理のためホワイトボードを使ってのメモ

命と経済が天秤にかけられ、「経済が崩壊するとコロナ以外で命を落とす人が出てくる」という論調もまだまだありましたが、だんだんと「医療が崩壊してしまうと、多くの助かったであろう命も経済も終わる」という認識も広まってきていました。

さて、緊急事態宣言です。ここ福岡の天神の百貨店は軒並み休業、追従するように多くの飲食店もお店を閉める(=休業ではなく閉業)ところも出始めています。

インバウンドが消え、イベント自粛・外出自粛がじわじわ広がった3月の第一波、そして4月となり経済における「人・物・金・情報」のうち、「人・物」がより動かなくなったことによる波が、これから決算を終えた大企業から、中小企業へと襲う第二波が起こる予感がビリビリします。それが金融不安に飛び火すると第三波は想像を超えるので、人類はこれをどう解決に誘導できるか。

IT、飲食、広告、不動産、建築、通販、食品、大学、交通、製造、小売などなど多様な業界の方と「状況」を確認しあうと、テレワークやオンライン化などをいち早く決めて平常に近い業務を回している企業から、体制も整備も整わず出勤を是として何も社内で議論してきてない企業もあれば、売上見通しがかなり悪くなり有給消化で休ませてGW明けまで粘る対応のみを決めた企業まで、「働き方」における意識や環境づくり、意思決定やリーダーシップに、かなりのグラデーションがあることがわかりました。

これまでの人類を襲った伝染病の歴史を調べてみると、きっとこのウイルスは根絶が難しく、アフターコロナではなくウィズコロナの世界として、長期的な戦いや共生の道をたどることになりそうだなと思っています。

そんな中、これまでの物理的距離感で社会を形成し、その安心感が保てる社会を土台に経済活動を上に上に積み上げてきた文明が、足元も社会そのものがガラガラと崩れようとしています。ということは、これから世界的にかなりの失業者が出ることや、ビフォーコロナの世界の働き方へは戻れないことを意味します。

仕事そのものが、産業構造が、サプライチェーンが、人と物の動き方や距離感が劇的に変わらざるを得ない世界の、働き方って?

VUCA時代を生き抜くには

まず、多くの人が先の見えない、世界の誰も正解を持ってない状況に不安を抱えています。もともとVUCAの時代と言われていた、不確実性・複雑性・不安定性などがだんだんと高くなる世界が、ほんの数カ月で想定もしていなかった領域から人類に迫ってきました。

じゃあそんな時代にぼくたちは、組織は、地域は、国は、どのようにして生き残っていけば良いのでしょうか?

オックスフォード大学のマイケルオズボーン教授が出した、2030年に最もと価値の高いスキルとは?という「スキルの未来(The Futures of Skills)という論文を発表。第一位は「戦略的学習力」。

記念すべき緊急事態宣言が発令された本日、とある企業にて今年で3年目となる社員研修を依頼されていたため講師をしました(コロナ対策を徹底した上での環境づくりと ワークの内容で開催)。そこでも話をしたのが「適応できる、変化できる、進化できる、最後が学習する」が、このVUCA時代を生き抜く「力」になると。

生き抜きましょう

この多くの業種が何かしらの傷を負っていく状況において、急きょあらたな仕事の相談が持ち込まれました。かねてより「組織開発をうちの会社でやってほしい」という相談をもらい、その実現に向けて社内根回しや契約内容の詰めを少しずつ進めてくれていた福岡の企業。

このコロナ危機が迫る中、社員が安心安全に働ける環境づくりをしたい!という想いがさらに高まり、会社の未来に向けての歩み寄りが始まりました。そこで、目前に迫る様々なリスクが現状把握の難易度の高さからのリスクマネジメントの支援を最優先に、「組織開発」にも少しずつ着手していく、ということで契約となりそうです。

今後、確実に仕事が減っていくことや、講義を受け持っている北九州市立大学も西南学院大学も、日程が後ろにずれたりオンライン化することになったりで時間的余裕が生まれた最中に、こんな需要が起こるなんて思ってもみませんでした。

危機における個人も、組織も、地域も、国も、もちろん一番は自らの命の確保ですが、学習して常に適応しながら進化させていけるかどうか、周りに良い影響を与えていく表現力を向上させられるかどうか、を大切にして生き抜いていきたいと思います。

さて、全然ゴールデンな色合いすら感じないGW明けまで、どんな景色が広がるのか、心がふさぎ込みそうな情報と感情で溢れそうですが、寝たら明日はやってきます。

“あの頃の未来に僕らは立っているのかな~”

夜空ノムコウが遥か昔の曲のように聞こえますね。

でも、音楽はいつだってどんなときだって、癒しと元気を与えてくれます。がんばっていきましょう。



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