日記

新型コロナウイルスが社会にもたらす“分断”のその後

2019年末に中国・武漢から全世界へと広がりつつある新型コロナウイルス。当初、他人事だった日本も、世界各国も、次々に感染が広がる中で国そのものの“あり方”すら問われかねないほどになってきています。

新型コロナウイルスについての正確な情報や社会・経済への影響、そして国家・政治的にどのような判断をしたら良いかの正解は、まだこの世の誰も持ち合わせていません。約100年前の1918年よりアフリカから広がったスペイン風邪が、現代人には何がどうなっていたのか全体像が掴めて、そんなこともあったんだねと言えるように、今回の新型コロナウイルスの全体像を見ることができるのは未来の人の特権なのかもしれません。

参考:西日本新聞の記事)
正しかった?新型コロナで休校 首相が「参考」100年前のスペイン風邪、当時の報道を探ってみた

新型コロナウイルスは人と人を分断する

福岡県内でも感染者が出て以降、2月後半の登壇系の講座の仕事がすべて飛びました。そのおかげで夜にいろいろと考える時間ができたので、TV・ネットニュース、そしてSNSを眺めていて、社会で起きているこの「現象」が何なのかを考えていました。

2/26の夜に確信したのが、新型コロナウイルスは「人と人、人と組織、人と国、そして国と国、それぞれの“繋がり”を希薄化していく」、つまり「分断」していってるなと。

欧米諸国では中国・韓国・日本人セットの「アジア人」の風貌しているだけで、コロナ!と差別されたりのニュースがあったり、入国規制の話がじわじわと出始めていたり、日本のクルーズ船への対応が大批判されていたり。

2月後半には首相の「小中高の一斉休校」発言から、共働きの小さい子どもがいる親たちからの悲鳴・批判の声がSNS上に溢れ、自分事ではなかった独身や中年以降の方々も子育て世代が出勤できなかったり、職場での人員が欠け始めて他人事じゃなくなった感もありました。

さらにリモートワークが大企業中心に促進され、会議のあり方、チームのあり方に大いなる“気づき”をもたらし始めています。そこから、「仕事をしていないオジサンたちが浮き彫りに」なんて記事も流れ始めました。

休校となった子どもたちも、親が持つ見えない資産(ITリテラシーや地域コミュニティとの距離感、ママパパコミュニティとの距離感)の差により、この休み期間をどう過ごすか?で、情報格差とも呼べる差も生まれてきています。

まだ確実な感染予防策もわからなければ、治療方法も確立できていないこのウイルスに対し、個人的価値観や感情で「判断」をせざるを得ない状況は、あらゆるところで分断を生んでしまっています。

例えば、恋人同士で片方が「感染したくないから外出しない、会わない、キスしない」なんて人も出てくる一方で、「今だからこそ人少ないし外出したり、旅行いこうよ」なんて人も出てくる必然。そうなると価値観や感情がぶつかってしまい、恋人という親しい仲でも亀裂を走らせ分断を生みます。

日本人が無意識に信じていたものが一瞬で崩れている

すでに年功序列も終身雇用も、形式上崩れていたとは言え、無意識に「この会社に入れば安泰だ」「会社に入ったからには、定年するまでここでがんばるんだ」と言った感覚、文化がここに来て猛烈なスピードで崩れているのを感じます。

新型コロナウイルスは、その確実な対処法や治療法がない状況では、生活スタイルが変わり、人と人との距離が変わり、他者との交流そのものの形が変わります。働き方も変わり、組織のあり方、コミュニティのあり方、そして高齢社会を迎えてしまった日本としての地域のあり方も変わりそうです。

人間は忘れやすい生き物とは言え、この強烈なインパクトを人類に突き付けている以上、「人と人の信頼関係の希薄化」つまり分断が、いろんなコストを生んでしまうことでしょう。

これまで、経済的にも社会的にも「繋がる」ことでコストをかけずにあらゆる活動を可能とし、ついに人類誕生から初めて全人類で「合意」にいたった(ある意味繋がった)SDGsについても、この分断がもたらす目標までの行動の変容はありそうです。

境界線を超えて繋がり合うために

新型コロナウイルスに関する情報も、刻一刻と変わってきています。当初、批判されていた検査数を増やしてこなかった我が国の対策も、その評価を変えてきていることがわかります。ひたすら疑いのある人を検査しているらしい韓国やイタリアが、重症者に対する医療提供ができない状況をつくってしまっているようです。

これらの国の医療崩壊と言える状況を生み出していることと比べると、無症状感染者や軽症者の疑いある人は自宅療養をし、重症者だけを徹底して治療し、医療現場の混乱を起こさせないようにしている(でも他の面では混乱してるけど)日本は、何より死者がほとんど出ないようになってきました。

大事なのはこれからです。一時的とは言え、いろんな人の行動や活動が制限されてしまい、経済的に大打撃を受けてしまった人たちも多く、新型コロナウイルスの「再定義」が人類的にされないままだと、しばらく精神的な「制限」は消えなさそうですよね。

それでも、若い人ほど重症化しにくいエビデンスをもとに、リスクを背負って行動したり活動していく人たちと、「完全に安全になった」という公的な宣言が出るまで身動きとれなくなってしまった人たちとの差は開いていく一方かもしれません。

境界線を超えていける人と、超えられない人との「間」がどんどん開くというのであれば、ここを「どう埋めるか?」がこれからの日本の持続可能性のキーワードであると思います。

きっとそれは、SDGsが出てくる前からも後でも変わらないキーワードだと思ってます。つまり、キーワードは「つなぐ」。この「つなぐ」ができる人の社会的価値がこれからますます上がっていく、これが今回の「現象」をもとに考察した僕なりの結論です。

ちなみに、新型コロナウイルス発生させた中国の国家レベルでの封じ込みはすさまじく、こちらの記事を読んで驚愕しました。現在、欧米が感染拡大を止められなくなってきている中で、中国が世界を席巻してしまうくらいの力を付けている感も否めない内容でした。

参考:Business Insider Japanより)
中国でネット拡散「新型コロナ防衛マップ」がすごい。アリババAIから老人会まで総動員の市中感染封じ込め対策



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