10月11日(土)、テンジン大学と、いきいき唐津株式会社との共同企画で、唐津へ修学旅行へ行く授業を開催しました。
(写真は「唐津くんち」の風景:唐津市フォトライブラリーより)
福岡人の勘違いで生まれる経済
今回の授業のタイトルは、ややふざけているのですが、「イカと明太子のはざまで」でした。明太子はご存じ福岡のお土産定番品。イカは?そう、呼子です。そのはざまということで「唐津」です。福岡に住む人はよく「イカを食べに呼子へ行く」と言います。で、いろんな人に聞いてみるんですが、たいていの人は「イカは呼子で獲れている」と勘違いしているようです。
そもそも呼子は小さい港で、イカはもちろん有名でよく獲っているのですが、「呼子のイカ」というだけで福岡の飲食店だけでなく、今では関東圏でも高値で売れるそうで、そちらの方が地元で消費されるより儲かるために流出しています。で、福岡人が休日に大挙してイカを食べにいくわけですが、イカを出す呼子周辺の飲食店は地元産のイカだけでは、この大挙して食べに来る福岡人分を賄えないのです。
これは水産業の方にとってはとても有名な話ですが、遠くは下関、北九州や芦屋、宗像の鐘崎や神湊で獲れたイカをトラックで呼子に運んでいます。福岡人はそのトラックを追いかけて呼子へわざわざ食べに行ってるわけです。
素通りされる唐津
今では合併して呼子も「唐津市」ですが、唐津の中心地は唐津城の城下町だったエリア。二丈浜玉道路も無料化し、西九州道が延伸され、ますます唐津は素通りされて呼子にアクセスされています。そんな素通りされている唐津の中心地へ、観光コンテンツをつくり、いかに経済を生むか?というのをやっているのが「いきいき唐津株式会社」というまちづくり会社です。
まちづくり会社としては、株式会社でやっているのでしっかりしています。大手口バスセンターのビル内にオデカフェというカフェを経営していたり、唐津の中心地、中町では中町CASAというリノベして1Fにカフェ、2Fにコミュニティスペースを持つところを運営していたり。ちなみに1Fのhanaカフェは、唐津へランチに行くなら、の人気のお店!
参照 : いきいき唐津株式会社WEBサイト
テンジン大学から13名が唐津へ
今回の授業では、参加者13名とスタッフ2名の計15名で唐津へ向かいました。天神バスセンターに集合し、定期便の高速バスで唐津へ。唐津からも3名の参加があり、31歳の若き岡部先生にまちあるきのガイドをしていただきながら、ワークショップも行い、夜はそのまま地元の居酒屋で交流会です。
今回、福岡人から見た唐津の観光コンテンツとなりえる素材・魅力の掘り起しを本題に企画をしました。なので、参加者にはただ唐津を歩いて体験してもらうのではなく、4チームに分かれて、それぞれに設定(○○になってください)をもうけ、視点を変えてまちあるきをしてもらいます。
そして戻ってきてワークショップ。それぞれに感じた気づきを共有していきます。初めて唐津の中心市街地へ来た、という人も3割はいて、福岡にはない非日常をキーワードに落とし込んでもらいました。
教える側が学ぶ、双方向の学びがある
授業としては、参加者は楽しみながら唐津を学ぶ、という意味では修学旅行ですし、とてもディープな唐津体験ができました。居酒屋では、参加者から「こうやって飲んでも帰れる、というのが一番の発見だ」と言っていた方もいました。さらに2次会は、昼間案内してもらった屋台街などのお店にも行き、そして福岡行きの最終バスで帰りました。
先生とコラボしたいきいき唐津の方から言われたのは、「我々の方が学ぶものが多かった」という感想です。福岡から来た、わずか13名ですが、それぞれの違う視点で唐津を見てもらい、かつキーワードに落として共有しあってもらう。きっとこうゆう場づくりも、なかなか行う機会がないのでしょう。2次元的なアンケートやヒアリングでは出てこない、体験したからこその意見や感想なんかも聞くことができたのが大きかったようです。
唐津の可能性
実は唐津、大学がないので、優秀な人材ほど外に出ていってしまいます。高校卒業と同時に地元を離れ、そのまま戻らない・・・。ですが、20代半ば以降で戻ってきている若者もいます。今、唐津を盛り上げよう、なんとかしようと動き出しているのが、このような人たちです。
今回歩いてみて、僕が一番感じたのが「ゴミがほとんど落ちてない」こと。今まで社会人になって、日本中いろいろ行っていますが、街中にゴミがない地方都市って、あんまりありませんでした。ですが唐津はことごとくゴミがない!!これは誰か一人の行動によってそうなっているのではなく、街を共有している意識と、ゴミを拾う文化がないと実現できないこと。でも、唐津の街中はそんなに人が歩いてないんです、ぶっちゃけ。それでもゴミがなかったからこそ、可能性を感じました。
そしてもう一つ。唐津はけっこう「高級」なものがゴロゴロありました。地方都市と言えば、物価は安く、いろいろ安く手に入るイメージですが、唐津は「唐津焼」を筆頭に、高級なモノがある。ミシュランに掲載されているお店も高級店。数は少ないものの、これが唐津の何か底力を支えている土台になっている気がしました。詳しく聞くと、実はこの「ほどよく都会」と「高級なモノ」がある街ということで、海外からの移住者もいるとか。
そして最後に、今回は「唐津くんち」に一切触れずにあえてしたのですが、それは「くんち」が唐津の王道コンテンツだからです。この王道を軸にせずとも、これだけのことが出てきた唐津、可能性は十分にありそうです。街中で人と人のネットワークを構築し、しっかりおもてなしする雰囲気を見える化すれば、唐津は人材がどんどん出てくるでしょう。人がたくさん集えば、おのずといろいろ動き出すものです。そんなキッカケにもなりそうな授業になりました。
おまけ
帰りのバスの時間に間に合うように集合したのですが、1名、バスに間に合わずに集合場所に来ませんでした。ですがすぐ連絡があり、JR(+地下鉄)で帰ったそうです。最終バス乗り遅れても終電がある、っていいですね。