「宇宙政策」と聞いて、何かピンとくるものはありますか?どんなことをイメージしますか?日本は宇宙に関して、これからも研究や開発にお金かけていくべきでしょうか?有人の宇宙飛行には巨額のお金とリスクも生じます。ロボット化でいいんじゃない?みたいな話も。
2018年の1月27日(土)、福岡市科学館で宇宙政策について考えるワークショップが、大阪大学×京都大学の共同プロジェクトで、九州大学も絡んで開催されました。そしてなぜかそのワークショップのファシリテーターとして僕が指名されたので、ほぼ参加者気分でしたがお仕事をしてきました。
そもそも宇宙政策って!?
僕もよく知らなかったんですが、言われてみると「確かにそうだよね」と思いました。「宇宙政策」というのは、日本という国が宇宙開発や研究に関することに、どのジャンルにどれくらいの目標を立てて、どれくらいの予算を使うか?という政策のこと。なぜ政策なのかというと、実は宇宙に関係することって「外交」にものすごい影響があるんです。
それこそ有人宇宙飛行を始めて成功させたのは1961年のソビエト連邦(今のロシア+α)。間髪いれずにアメリカも成功させていくわけですが、1961年ってね、まさにそんな時代なわけでしょ。ここに1988年に日米の協定で「国際宇宙ステーション」の開発が決まり、その後、ロシア、カナダ、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリスなどの国々も加わり2011年に完成。当初、2016年までの運用計画だったのが、2024年までに延期されたようです。
で、その後は?まだいろいろと各国の思惑もあり(主にアメリカ・ロシア)、日本は国としての意志としてどんな政策をとっていくのか?お金は最低でも年間500億円の税金が使われます。
宇宙政策を考えるワークショップ?
不思議なのが、そんな宇宙政策について「一般市民が考えて見るワークショップ」が開催されるということ。今回の主催は「STiPS」と呼ばれる大阪大学×京都大学の人材育成プログラムによるものでした。
STiPSとは
「公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)」は、大阪大学および京都大学の連携による人材育成プログラムです。科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業の一環として、2012年1月に発足しました。
引用:STiPS公共圏における科学技術・教育研究拠点 WEBサイトより
非常に一般人にはわからないワードが並んでいるわけで、「公共圏における」という表現ですらなかなか掴みにくく、そこに「政策のための科学」という言葉もあり、もうよくわかりません。さらに今回は宇宙政策について、一般市民が考える、というワークショップの場づくりです。
事前にメールでやりとりし、ビデオチャットによる会議を重ね、「なぜ、政策のための科学として、宇宙政策を有識者ではなく、一般市民が考えてみる必要があるのか?」という質問もしながら、わかったような、わからなかったような気持ちで当日を迎えました。
高校生から高齢者までいる場のファシリテーション
参加は、科学館で開催された2月3日(土)「サイエンスアゴラ・このロボットがすごい!」で登壇することになる城南高校の生徒たちと事前に知り合って告知していたので、高校生から学校の先生から、テン大でも少し告知していたので若い女性が数名、それと科学が大好きでそれを伝える活動をしている方や、九州大学の社会人枠で学ばれている高齢者まで。
そして、参加者みんなで考える途中に「専門家の話題提供」としてJAXAの先生が話したり、九州大学の先生が話したり、大阪大学の先生が話したりし、またみんなで考える、という流れでした。
内容のテーマが難しい、参加している方々の属性も非常にバラバラ。唯一の共通点は「宇宙について関心があること」。このような現場のファシリテーションの仕事は、ジャンルとしては少ないのですが、非常にエキサイティングでした。でもこの「宇宙について関心がある」という共通点さえあれば十分です。
参加者1人1人が、その場で思考を巡らせるその思考を上手く引き出し、有機的に繋げて対話をしやすくなるように「促す」ことができれば、あとは参加した人たちが主体性を持って場をつくっていってくれます。
時間を非常にタイトにいろいろ詰め込んでたにも関わらず、高校生たち含めて非常に有意義な時間になったことや、参加した人たち同士が繋がったりしていく様は、いつもながらファシリテーターとしての自分にとってのすばらしい報酬になりました。
何より、宇宙政策についてだいぶ詳しくなりました!