北九州市立大学・特任教員の任期が終わったので振り返ってみた

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2013年4月1日から2017年3月31日までの4年間、人生で初めてホンモノの大学から給与をいただく仕事をしておりました。4月も半ばに差し掛かり、北九州に行かなくなったのでこの貴重な仕事経験を振り返ってみたいと思います。

 

なぜ大学の特任教員の仕事が始まったのか?

ちょうど7年前に紹介でお会いした福岡女子大学の和栗百恵先生と、以後仲良くさせてもらっていて、姉のいない自分にとっては密かに「姉」的な存在の人生の先輩。そんな和栗さんに「大学の先生という仕事にも憧れはあります、研究は興味ないけど」みたいなことをだいぶ前にしゃべっていたんですね。すると4年数カ月前のある日の夜、「今から来なさい、いいから来なさい、大学の先生やってみたいって言ってたでしょ」とかなり強引なお誘いの電話がかかってきたので、行きました。

 

そこにいたのが、北九州市立大学の地域創生学群の眞鍋先生。(次の)春から「地域活動という実践を、教育プログラムとして大学生たちに提供する教員を探しています」と言われ、お誘いを受けました。話を聞けば聞くほど「これは自分が最も得意な分野ではないのか?」と思ったものの、勤務地が北九州であり、他にも仕事を抱えるているし(もちろんテンジン大学も)、当時お付き合いしていた女性との結婚前で一緒に暮らし始めたばかりで、かなり悩んだ結果・・・。今では妻の「行っておいで」の一言で、通う決心をしました。

 

北九州まなびとESDステーションが開所

よく大学教員してると言うと、「どんな講義しているんですか?」と聞かれましたが、講義は一切持っておらず大学生たちが地域課題に向けた取り組みをプロジェクト単位で活動する、そのプロジェクトを伴走しながら指導していくという先生でした。そしてその拠点が「北九州まなびとESDステーション」です。

 

北九州まなびとESDステーションとは

文部科学省の大学間連携共同教育推進事業(2017年3月31日で事業終了)で、北九州市立大学が幹事校となり、市内10大学(北九州市立・九州共立・九州国際・産業医科・九州工業・九州女子・西南女学院・九州栄養福祉・西日本工業・九州歯科)が連携して、大学生たちがプロジェクトを通して街の活性化や課題解決を行い、かつ地域人材の育成したり、ネットワーク形成をしていく事業の拠点。小倉のモノレール平和通駅すぐ近くの魚町商店街のビルの地下。

WEBサイト:北九州まなびとESDステーション

 

ESDとは

Education for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されていて、国連が2005~2014年で活動推進してきた概念(?)で、日本では自治体行政の中にこの「ESD推進」を明確に行ってきたところは本当に数える程度。その1つが北九州市。環境から国際問題から、人権までと非常に幅広い。

ESDとは(文部科学省HP)

 

自分がやってきた4年間の足跡

プロジェクトとしては合計9つ。それ以外にも事業企画リーダーや、けっこう大き目のイベント企画など、短期から長期までのプロジェクトの立ち上げやマネジメントみたいな仕事でした。

 

主な実績と呼べそうなものをあげると

●グリーンバード小倉チームの立ち上げ

→活動2年で年間延べ参加者数が3000人を突破し世界最大規模のチームに。活動エリアが、小倉(魚町)・北方(小倉南)・黒崎となり、名称をグリーンバード北九州チームに。これは大学生リーダーはじめ、メンバーみんなが本当によくがんばった。

グリーンバード北九州チーム

 

●プロジェクト×北九州市の特別番組「明日への伝言板」

→男女共同参画のプロジェクトで、とある広告代理店から相談があり市の人権セクションがずっと続けているCROSS FM「明日への伝言板」の特別番組を共同企画。東京レインボープライド代表であり友人の杉山文野を呼んでの講演会と、大学生たちによる取材とその内容をもとに大学生が番組脚本を作成&出演。

(杉山文野が北九に来たときの記事)

 

●北九州市50周年×西日本新聞社

→市の50周年企画を、紙面使って「50年後の北九州市を市民が描いた」というイラストの掲出の、イラストをつくるための市民ワークショップの企画・ファシリテーター。中高生から高齢者までの市民50人くらいにお世話係に大学生が10名くらい付いてもらって、門司・小倉・戸畑・八幡・若松に分かれてもらって50年後の未来の(部分的な)絵を1人1枚書いてもらい、それを集合させてイラストレーターにバトンタッチ。後日、新聞の見開き15段にドーン!とその様子が載って感動ものでした。

北九州まなびとESDステーションHP「北九州未来図プロジェクトが掲載」

 

●伊勢谷友介さんを招いての地域創生フォーラム講演会

→「第7回地域創生フォーラム&北九州市制50周年記念公開講座」という2つのイベントが合体して予算もちょっとあるぞ、という企画会議の中で「伊勢谷さんを呼ぼう!」となり、ネットワークで近い存在だったのでマネージャーさんを紹介してもらい、調整重ねて伊勢谷友介さんに来ていただけました。おまけに講演には自分も登壇してトークセッション。当日は終わったら博多駅まで一緒に新幹線にも乗ってお話でき、感無量の経験でした。(伊勢谷さん、男から見ても「セクシー」です、ホント)

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※写真は2014年2月の第7回地域創生フォーラム&北九州市制50周年記念公開講座と、その直後に撮らせていただいた写真(伊勢谷さんからブログ掲載OKもらったもの)

 

●ミライ創造塾の立ち上げ

→大学生が自己のリーダーシップや可能性を掘り起こして「自ら行動を起こす・プロジェクトを立ち上げる」というのを事業企画の設計をしました。ネーミング・ロゴ・プログラムの設計開発、大学生たちのフォロー・メンターなど全部。リソースが限られてたのと時間がない中だったので、けっこうたいへんだったけど。

ミライ創造塾2016

 

自分には何ができて、何ができなかったか?

体験・経験を振り返るときに一番重要なのは「事実」を取り上げて羅列することよりも、「それが自分にとって何だったか?何が起きたか?どう活かされるか?」を言語化し、今後も脳みその引き出しからスっと取り出せる状態をつくっておくこと、だと思っています。

 

結局、この4年間が自分にとって何だったのか?を振り返ってみると・・・

 

・活動(コミュニティ)を創りだすこと

・活動を拡大させること

・話題性を持たせること

・意欲高い人、よりも意欲は中くらいだけど、という人を巻き込むこと

 

これらをまとめると広義的な「場づくり・人づくり」の「デザイン」をしてきたんだな、ということに行きつきました。一方で4年間もあったのに思った以上にできなかったことは、北九州の多様な人材とのネットワークの根が広げられなかったこと、に尽きます。やはり、ずっと福岡を拠点にやってきたので人脈があまりない北九州では、何か事を始めようというときに、すぐに「人」にアクセスできません。そのため「時間」という貴重な資源を使うか、「お金」という限られた資源を使うことになり、規模を大きくしたり効果を大きくしたりすることを「設計・計画」ができなかったことです。

 

北九州に通ったからこそ手に入れることができたこと

2つあります。

 

1つ目は、ここ1年ほどで大学生たちにも明確に言葉として伝えられるようになったのが「誰を知っているか、誰に知られているかの人脈は、スキルだ」ということです。上にも書いて重複しますが、何か事を起こそうと思ったり、困った課題を解決したいと思ったり、奇抜なアイデアをひらめいたときに「それを実際に行う」ためには、自分一人ではできないことがほとんどなので、「誰かの協力」が絶対に必要です。

 

そのときの「誰か」にすぐにアクセスして、「信用」をもとに協力をお願いし、それをさらにその街の人たちに「知ってもらう」ポイント(接点)も作るとなると、普段より「多様なネットワーク」を形成していれば、そんなに難しいことではないな、と思っていました。だからこそ福岡テンジン大学は7年も続けられて未だに少しずつ成長できていますが、逆にネットワークがほぼゼロから始まった北九州は真逆の条件から始まり、かつそこに住んでいないという制約もあり、本当にたいへんでした。

 

だって●●をしたい!と思ったときに、それを実現するためにAさんがいる!と知っていたら、連絡1本で物事がもう動き出します。でもAさんと繋がってなかったり、そもそもAさんのような人が必要!ということすら認識できていなかったら、●●を実現するにはきっと途方もない時間がかかってしまうことでしょう、より多くのお金を使わないといけなかったりすることでしょう。ほら、生産性の視点から見たら雲泥の差、実力なんです。

 

この福岡と北九州の2つのエリアでの仕事経験の比較から、明確に「人脈は実力だ」を体感することができたことが、これからの自己のキャリアにプラスできそうです。

 

最後のもう1つは、「持続可能」という視点。ESDという言葉を知り、数年前に委員になっていた福岡市環境教育政策委員にて福岡市の環境教育の基本計画(10年単位で改編)にESDの視点があまりにもなかったので、だいぶ声大きく発言して入れてもらったり。さらには国連が近年発表したSDGs(持続可能な開発の17の目標)も情報をキャッチでき、かつ内容もすんなり理解でき、その前後のコンテクストも入ってきて「自分のこれからの生き方・仕事の軸はこれだな」と思うようになりました。

持続可能な開発目標(SDGs)とは(国際連合広報センター)

 

ということで、4年間をざっと振り返るだけでもこんなボリュームになってしまいました。ホントはもっとたくさんの大学生と出会っての1つ1つの想い出や、あんな学生・こんな学生いたとか、こんな学生が伸び悩み、こんな学生がすごく伸びたとかあるんですが、また別の機会に。4年間、関係してくださった多くの方に(きっと届かないんだけど)感謝です。


岩永真一(福岡テンジン大学・学長)への講師・講演依頼について

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