なぜ、テンジン大学をやるのか?

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テンジン大学のことについて、事例紹介として「講演」の依頼をいただくことがあります。そのときは「なぜ、やるのか」についてはお話しています。しかし、初めてお会いして名刺交換したり、テンジン大学の名前だけは知っていたけど、とお会いした方から「何のために?」とよく聞かれます。

 

今まで、約200コマの授業を企画・実施してきましたが、すべての授業が「授業コーディネーター」と呼ばれる方がいて、その人の「想い」をカタチにした授業をやってきました。それらの授業には、運営スタッフというボランティアが2~3名ほど入り、授業を運営しています。

 

授業には必ず「先生」がいます。この先生は、福岡の街に住んでいたり、働いていたりなど、比較的身近にいるような方々が先生を務めてくださいます。しかし、テンジン大学は参加費が原則「無料」で開催しているため、講師代を何万円も包むことができません。「授業コーディネーター」の想いや、テンジン大学の趣旨に賛同いただき、「街の先生」として登壇いただいています。

 

今まで、一度でも授業運営に入ってくれたボランティアスタッフは90名を超えていますが、就職・転職や結婚で環境が変わったり、転勤で福岡を離れたりなどで、思った以上に入れ替わりもあります。さすが人口の入れ替わりが激しい福岡City。開校当初より、経営の部分に関わってくれているコアスタッフがいます。そのコアスタッフを中心に、事業として組織としての運営を行ってきましたが、開校から3年ほど経つと、新しく入ってきたスタッフと、「なぜテンジン大学をやっているのか?」の、そもそもの部分を共有する機会も乏しくなっていきました。

 

そこで、テンジン大学の理事やコアなスタッフたちと話し合い、作成したのが「テンジン大学の教科書」です。

 

■テンジン大学の教科書・表紙

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教科書にはどんなことが?

テンジン大学が主にやっていること、それは「授業」です。今まで、述べ約4,500名が参加しました。この、継続して存在していくことで、そして積み上がっていく様々な「授業」を通して、こんな方々が生まれます。

 

「なんとなく土日のイベントやボランティアを探していたら、テンジン大学と出会いました」

「まちあるきの授業に参加してから、まちづくりに興味を持ち、市政だよりや公民館だよりにもちゃんと目を通すようになりました」

「もっと自分にもできることがあるんじゃないか?と前向きな意識が芽生え、スタッフに応募しました」

 

テンジン大学が企画する「授業」はキッカケにすぎません。このキッカケをもとに、「街に関心を持ち」「小さくてもアクションが起き」「人と人が有機的に繋がっていく」ことを、どんどん作っていくこと。これがテンジン大学が生み出していきたいコトです。

 

テンジン大学がやりたいことは、「人づくりを通じて、まちづくりをする」こと。

 

 

「そんなの、行政の仕事だ!」

 

 

そう言われることもあります。しかし、これだけ情報が溢れ、行政が発信する情報に若い人たちは触れることすらない。ちなみに、福岡市は日本において屈指の「集合住宅比率」です。かつ日本一「居住年数が短い」市民を抱え、全7区平均で5年で40%の住民が入れ替わるという、ビックリするくらい他人の多い街なのです。ここに、行政がサービスを提供していこうにも、公民館というハードしかなく、ソフトな展開ができていないのが現状でした。

 

シブヤ大学が2006年秋に誕生する半年前。東京でシブヤ大学の構想を聞いてすぐに「テンジン大学つくります」と発言したのが、僕がテンジン大学を始める最初のキッカケですが、2010年にいざ開校する!となったとき、3日3晩(夜限定)悩み、いろんな言葉を紙に書き落としていきました。

 

・なぜ、この福岡にテンジン大学が必要なのか?

・なぜ、福岡でやらないといけないのか?

・そして、なぜ自分がやるのか?

 

この自問に対して、徹底的にその答えを掘り下げていったときに出てきたのが、テンジン大学は自分自身だ、と。僕は、社会人生活をアルバイトとして始め、ニートの時期も若干ながらありました。実家暮らしだったため、生活はすぐに困窮しませんでしたが、職はすぐに見つかりませんでした。周りの友人たちは大学卒業後、正社員として働いている・・・。

 

そのときに自分に残っていたのが、テーマ型のボランティアコミュニティ。天神をそうじしているグリーンバードです。

→ グリーンバード

 

2004年に出会ったこのNPO法人は、やっていることは「そうじ」ですが、それはパフォーマンスとしてで、ゴミをポイ捨てさせないように見せる活動としてプロモーショナルに展開しています。このグリーンバードに参加して出会った、多くの社会人としての諸先輩方、そして天神のまちづくりをしていた市役所や西鉄や商業施設の方々。そこでいろんなプロジェクトに関わらせていただき、仕事とも、プライベートの友人とも違うコミュニティの存在価値を知りました。

 

そこで得たものが、「価値観にとらわれないネットワーク」「仕事では体験できない志事」だったと思います。多種多様な人とのコミュニケーションを継続していくと、いつの間にか、コミュニケーション上手になっていました。思えば、硬派な女子としゃべれないような、ちょっとダサイ男子も、いつの間にか女性を楽しませるコミュニケーションがとれ、モテはじめる人も数多く見てきました。

 

大きかったのは、仕事では体験できない、いろんなプロジェクトの手伝いにより、いろんなスキルが格段に向上したと思います。資料作成から交渉、人の動かし方や、人・モノ・金・情報のマネジメント。そしてそれに伴って相乗効果的に、まちのいろんな人とネットワークが繋がっていきました。

 

これがテンジン大学を立ち上げるときに大いに役立ちます。そして個人的な今の仕事にも、このときからの蓄積が大いに役に立っています。そうです、大学卒業してアルバイトから始まった社会人生活で、ニートも経験していても、正社員じゃなくても、チャンスは作れるし、このテーマ型のコミュニティは、行政も用意できないセーフティネットだ、と思ったわけです。

 

自分は、天神という街に磨かれ、天神の街で出会う多くの人たちが先輩であり先生であった。その方々に与えられる機会が、多くの学びをもたらした。これに感謝し、恩返しするには、街に責任を持ち、多くの人が自分が体験したようなことができないか。

 

これがテンジン大学の正体です。さらに「人と人が繋がること」は、ソーシャルキャピタルというカタチで想像以上の効果があることも後からわかりました。

 

 

行政にはできない、かと言って民間企業も儲からないから手を出せない。

だったら、体験して実践している「自分がやる」。

 

 

テンジン大学をやる理由は、一言でいうと「恩返し」ですが、街にとってはうすーく経済効果も治安向上もある、いわゆる「まちづくり」ですね。ただ、やるからにはなるべく多くの人と接触でき、巻き込み、アクションを起こしやすくする、だから「無料」でやっているし、株式会社ではなくNPO法人にしました。

 

資金調達は苦戦していますが。なので継続して、応援してくれるスポンサーは募集しています。みんな福岡の街は好きなんですが、プライド(責任感)は薄い。これが僕にとっての課題であり、街をジブンゴトとしてとらえている部分です。

 

そんなことを凝縮して、かわいくポップに表現しているのが「テンジン大学の教科書」。スタッフだけが手に入れることができるバイブルです。

 

さて、来月もどんな授業を企画しよう?

→ テンジン大学授業一覧


岩永真一(福岡テンジン大学・学長)への講師・講演依頼について

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