日記

これからのキャリアデザインに必要な3つのこと

2020年が始まりました。日本という国規模では東京オリパラを迎え、福岡では天神ビッグバンで天神コア・ビブレがいよいよ閉店し都心部の一角から人気(ひとけ)が消えます。これまでの10年は、スマホが一気に普及し、世の中の情報の動きを劇的に変え、人々のライフスタイルからキャリアビジョンまでを大きく変え始めました。これからの10年はどうなるのでしょうか。

 

2019年に発表された世間の空気を表しているようなものでは、中学生の「将来なりたい職業」のトップクラスに「動画投稿者」、いわゆるYou tuberがついに1位を獲得し(男子のみ)、「教師・保育士」などの教える職業はランク外へ。さらに日本財団が発表した『18歳意識調査. 「第20回 –社会や国に対する意識調査-」』(※)は多くの大人たちにショッキングな衝撃を走らせましたね。

(※) 日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)

 

誰もがキャリアデザインを考えアップデートし続ける時代へ

日本の人口ピラミッドが若く、出生率も安定していれば、ますます科学技術の進歩が加速していく時代でも、この国の多くの若者たちも希望を持って学び、将来を明るく感じたことでしょう。2010年からの10年間で日本の人口は約400万人減少しました。2020年からの10年は約800万人減少、さらに2030年からの10年は約1,000万人減少することがほぼ確定しています。そこにまだまだ上昇する高齢化率。国内需要に頼っている経済は確実に萎むことが確定していることもあり、世間を包む「空気」を若者たちは敏感に感じ取っている結果が、上記の18歳意識調査の各国との比較の差として現れているのだと思います。

 

これまで、国や経済の”流れ”に乗っかってキャリアや人生を過ごしてきた大人たちがつくってきた社会が、平成とともに終わったと思ってます。これからは前時代の大人たちと同様に、国や経済の”流れ”の乗っかって、何も考えない・学び続けない人のキャリアや人生には、非常に厳しい社会が訪れる可能性が高いと思っています。

 

世界的投資家ジム・ロジャーズが「私が10歳の日本人なら、自殺するか海外に今すぐ出る」的なことを発言。それが叶わない大半の日本人は、これからの時代をどう生き抜くべきか?

 

人口減と高齢化で、まだ加速がつくマーケット縮小によるダメージを、これから多くの産業・企業が受けることとなります。その中で、自らの仕事、働き方、そして人生をどうしていくか?誰もが考え続けないといけなくなり、不確実性の高い現代では学び続けていくことが最も大事になります。

 

これからのキャリアデザインに必要な3つのこと

2019年度、北九州市立大学で「キャリアデザイン」という約250名の講義15回のうち、11回分を担当しました。これまで九州産業大学で2017年度・2018年度と「ビジネス入門」という講義(15回分・2単位)を担当し、計700名ほどに教えてきた経験もあり、現代の時代感、そして過去の自分のキャリアを棚卸し・言語化・体系化したものを凝縮して伝えてきました。

 

このアウトプットの機会は多くの膨大なインプットをもたらしてくれたこともあり、2019年10月には、福岡都市圏15大学×福岡市×産業界による福岡未来創造プラットフォームというところが主催の、リカレントカフェで登壇、12月には福岡県内の企業に務める女性管理職者向けの「枠にとらわれない生き方」というテーマのトークイベントにも登壇しました。

 

上記の機会でお話させていただいたのが、「キャリアデザインは全方位型」になったこと。そしてそのために「必要な3つのこと」、です。

 

①アンラーニング

過去に学んだ知識や常識は、すでに陳腐化してしまったものもあります。そしてそのスピードが年々速くなっている。誰にとっても「役に立つ」ものは、すぐにマニュアル化し、今後はAIやロボットが担う領域かも。固定概念を捨て、いろんな視点から物事を見て、学び続けること、過去の知識や常識を疑うことが大事です。

 

②ダイバーシティ

多様な視点を持つこと。固定化されたメンバーで構成する組織にしばらくいると、同質化が進み自己のアイデンティティを見失います。そうならないために、常に世界観を広く持ち、多様な視点を持てる「環境」を自らつくらないと、人間は居心地の良い状態(変化を感じず、敵を感じず、考えなくてよい状態)を維持しようと惰性が働きます。社外のコミュニティに属する、社会の動きに敏感になる、人と違うことをする、それだけで多様な視点は持てます。

 

③リフレクション

正解がわからない世界では、人生の価値観も、仕事での判断基準も、本当にそれで良いのか自信を持つことが難しいです。自信という漢字は「自分を信じる」という表現をされますが、さらに解像度を高めると「自らのことを人に言う」と書きます。自己のアイデンティティを自分自身が認識しないと、「自らのことを人に言う」ことはできません。これは習慣があれば身に付きます。それこそ「体験の言語化」です。体験したことが、自分にとってどんな意味があったのか?過去の自分のどんな感情や記憶と繋がったのか?を考え、言葉にする。その行為が、新しい自己の拡張をもたらし、言語化もできるため他者と共有することもできます。自己のリーダーシップ(個性)を引き出し、他者との良好なコミュニケーションも促す学習方法です。

 

 

キャリアデザインは全方位型に

これまでの日本は戦後できた価値観的に、新卒一括採用・年功序列・終身雇用の文化とそれに則した各企業の労働規約や制度もあり、「キャリアは会社が決めてくれる」ところが強かったです。異動・転勤・担当換え(配置換え)は、自分の意思よりも組織の意思(上司の意思)によるところが強く、「好きなことを仕事に」なんて言われませんでした。(むしろ言ってたら、あいつは子どもか、みたいな扱い)。

 

ところが、これだけ情報流通量が増え、世界中の誰とも繋がることができ、受発信が手の上のデバイスからできるようになると、感情・熱意みたいなものを凝縮させたようなものが共感を広げ、人の注目も行動もそしてお金さえも集められるようになりました。これが「好きなことを仕事に」の価値観を拡大、仕事もカフェやオフィス以外の場所で行う人も増え、ライフスタイルと仕事の境界線が溶けていく人も都会を中心に増加。そう、このライフスタイルと仕事が混ざっていくことこそ、自分の人生の価値観、生き方そのものがキャリアをデザインすることに直結するようになった、つまり全方位型になったと思ってます。

 

もう自分のキャリアを、会社に決めてもらう、上司の手に委ねる、親に決めてもらう、そんな時代はとっくに終わりました。誰か(とくに年上の誰か)に用意してもらったレールは、旧来の価値観である可能性が高く、それは時代とともに消えていくレールかもしれない。そんな危機感を認識し、より自分と向き合い、ワクワクするか、ときめくかの感情、そして何より熱意に、科学的な適正(精度の高い適正診断・個性診断、おすすめはストレングス・ファインダー)を掛け算して、キャリアを常にアップデートしていく時代を生き抜きましょう。



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