ビジネスの世界ではいろんな例え用語がある。競争が激しくシェアの奪い合いになりいろんな手法やモデルが出し尽くされている市場をレッドオーシャン。まだ市場として認知されていないけども確実に課題やニーズがあり、これから好きな方向に事業を展開させられそうな市場をブルーオーシャン。赤い地獄の海か、どこまでも広い青い海か。
東京の進んだ会社に勤めて全国飛びまわている同年代の知人や、企業人事と話しをする機会の多い採用系の企業に勤めている友人から話を聞くことも多い。近年は「働き方」について、副業・兼業への理解が加速度的に進んでいるようだ。このような柔軟な「働き方」を導入しないと社内の人材を繋ぎ留められないというネガティブな選択肢と、外から優秀な人材を獲得できるように社内環境整備の一環で進めるポジティブな選択肢と、あえて違う部署・違う業種の社内副業や社外副業を進めることでイノベーションを生みたい攻めの選択肢と、東京の企業人事制度の動きは目まぐるしそうだ。
なぜなら「どのような人材を獲得できるか」「どのような人材を育てられるか」が企業にとっての生命線になってきているかららしい。そんな中、どこにも所属しない複数の会社の仕事をこなす「複業」というカテゴリーの働き方が近年になって名前が付いた。
ブルーオーシャンな社会派フリーランスの市場!
実際のところはよくわからない(笑)本当にブルーオーシャンなのか、ただの大きな湖なのか、魚はいるのか、どんな生態系があるのか、明確なことはわかってない。ただ、「社会派フリーランス」と検索しても、それっぽいのが出てこない。きっとここはまだ未知の世界なのかもしれないし、もしかしたら自分一人だけしかいないという世界かもしれない。
でもこれだけは言える。社会性の高い複数の業界のハブになれるフリーランスは、フリーランスとしても、複業という働き方にしても、非常に持続可能な働き方なんじゃないかと。
理由をいくつかあげてみたい。
- そもそも社会性の高いフリーランスがいない
- いろんな業界のハブになれる
- 一人イノベーションアイデア装置になれる
自分の経験から照らし合わせると、日々いろんな相談が持ち込まれるようになっている。その中にはお金になるものもあれば、ならないものもある。人材採用の相談から、プロジェクトの立ち上げの相談、販売促進ツールの企画の相談、経営者のメンターとしての相談、事業のコンセプトワークの相談。ここに挙げたのは今日、4月10日の1日で入ってきた相談だ。もはや自分が何者であるのか?これだけで見ると全く掴めない。それに仕事になるかどうかもわからないものも含まれている。
でも一貫して、これらの相談の中身を深く掘り下げると「どうやって社会との関わりをコンセプトの部分から含ませて、実際に社会と接続させるか」の視点を求められているのかがわかる。そう!普通は社会性なんてなかなか持てないし、普段は考えもしてないビジネスマンが非常に多いからだ。産業界のあらゆる業種において、この「社会との関係性をどう築き、事業やプロジェクトを浸透させるか?」のそもそもの部分が、現代の加速度的に情報流通量が増えている時代では、難易度が上がってしまっているのかもしれない。
そう考えると、社会性の高いフリーランスは難易度も高いが、ブルーオーシャンな市場なのではないか?と思っている。ぜひソーシャル系なこと、社会課題の解決などに興味があり、かつフリーランスという働き方に興味がある人は、このような働き方を模索・構築してほしいと思う。
社会性を高めるってどうすればいいの?
「普通は社会性なんて持てない」ならどうすればよいのか?実はとても答えはシンプルだ。
- 社会の今の動きに敏感になる、ニュース記事を拾い読みする
- 自治体職員、起業家、サラリーマン、学生、NPOの人、などあらゆるジャンルの知人を持つ
- 事業の課題解決や相談の解決が、社会の何に結びつくのか常に自問自答する
これだけでいい。でもこれが難しいのだ。とくに2番目のあらゆるジャンルの人と、どうつながればよいのか?ここが普通はすぐにできない。できない代わりに、できるようになると2番が最強の武器になる。
最強の武器になるとはどういうことなのか、つい先週相談されたことを事例にしてみる。
誰と繋がっているか?が最強の武器になる
イベント企画系のフリーランスの知人から「今、東京の(とあるエリアの)企業のCSR担当が集う事業体の事務局の仕事をしていて、SDGsに関する勉強会なども開いている。誰か講演等できる人はいないか」という相談を、たまたま福岡に来ていたので、雑談の中でこうなった。先月、北九州市立大学主催でSDGs関連のセミナーに参加し、基調講演に来られていたSDGパートナーズの田瀬さんと繋がっていたので、さっそくSNS上で紹介し繋ぐ。
自分がしたのは紹介して繋ぐという行為。「あらゆるジャンルの知人を持つ」というのは、誰を知っているか、もしくは「誰に知られているか」ということになる。そして自分という人間をハブにして繋げていくことで、繋がった先で「人・物・金・情報・感情」が動くことになると、繋いだ双方から感謝されることになる。
このとき、社会性が高いことで信用される自分というブランドができていれば、「紹介」というのだけで仕事が生まれたり、感謝されることが生まれたりする。それがまた信用を蓄積する。先月は実際に人を紹介しただけで、予算をつけてくれた企業もあった。
お金になるかならないか、わからないようなことでも、とにかく「自分の行為が社会の何に繋がっているか」が見えてないとできないことだとも思う。でもこれをひたすらやっていくと何が起こるか?
「あの人はいろんな繋がりがある。そして社会的な視点で言葉をくれる。何か困ったらまず相談しよう」になる。「誰と繋がっているか」の引き出しが多様で多ければ多いほど、多くのビジネスマンが抱える様々な課題への近道を知っている人物になれるということでもある。
これが社会性を高めていくことで実現する働き方になっていく。
あらゆるジャンルの知人を持つには?
残念ながら1つの大きなスキルが必要かもしれない。社交性というものだ。コミュニケーション力とも違う、人間関係を構築し、自分という人間をしっかり相手の心に植え付けようと無意識に接することができるようなスキルだ。
そんなスキル持ってない?
いやいや、確かに人には向き不向きあるのは認めるが、これは「技術」だ。訓練すればだれでもある程度までは磨けるようなものだ。あとは、やるか、やらないかのどっちかだ。
そして社会性が高い状態をキープしておくことは、あらゆる生の一次情報が入ってくること、そしてまたそれが武器になることに繋がる。社会性が高いフリーランスとは、非常に持続可能性の高い働き方ともいえるのではないか?と思っている。
自治体職員や大企業のサラリーマンこそ、今後の副業・兼業がどんどん進む時代において、このような社会性をどんどん高めて活躍できる可能性を秘めているのではないか?とも思うし、その社会性と繋がったネットワークが、イノベーションの種になるのではないか、と思うのである。