リーダーシップ開発にソーシャルな活動が向いている理由

2017-0714

2003年からの13年連続で「企業が新卒学生に求める能力」の第1位に君臨するのがコミュニケーション能力(※経団連による調査)。とは言え、3年で3割辞めると言われる比率は微増傾向(厚労省の調査結果より)で昔からミスマッチは続いているものと思われます。一方で、企業の採用担当の方や、大学側の事務の方の話を聞くと、こんなリアルな企業側の愚痴が大学に対して言われるそうです。

 

●チームに貢献するような行動、コミュニケーションをはかることができない

例えば「習ってないからできません」「言われてません」など

 

いわゆる主体性がない、と。これはいったいどういうことでしょうか?昔は「主体性がある新卒学生」が今よりもっといたということでしょうか?同じく経団連の「新卒学生に求める能力」のここ10年弱、コミュニケーション能力に次いで第2位なのが「主体性」です。コミュニケーション能力ほどではありませんが、ジワジワ上昇してきています。

 

でも、主体性って「コミュニケーションとして表れる結果のこと」じゃないですか?。つまり、コミュニケーション能力×主体性、つまり「リーダーシップの発揮」がこの10年以上、新卒学生に求められてるってことですよね?

 

なぜリーダーシップの発揮が求められるのか?

そもそも、求められるということは大学生にリーダーシップが開発されるプログラムを大学側が提供できてなかった、もしくは大学生側にリーダーシップ開発する機会がほとんど獲得できなかった、ということではないでしょうか?

 

これは「複数人で何かの目標に向かって役割分担があり、チームで行動する経験値」があれば良いのですが、それがなかったということではないでしょうか。いくら座学でコミュニケーションや主体性を学んでも、発揮の仕方なんてわかるわけない。やはり実践が必要です。

 

この近年、大学教育にPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)やSL(サービス・ラーニング)が広がるワケはここにあります。この2つの中身は「キャンパスの外に機会をつくり、地域活動や商店街との連携、企業との連携、そして起業などをプログラム化し、実践をもとにした教育」です。ではなぜ広がってきたのでしょうか?

 

理由は

・キャンパス内では大学生をお客様扱いする場所であり

・一歩外に出ればお客様扱いしない世界が待っていて

・一人では何もできないことを痛感させられ

・年代や価値観が多様な人たちとコミュニケーションの機会があり

・主体性がないと成果が出しにくく

・ふりかえりによって「新しい自分に気づき、人との関与の仕方、コミュニケーション、人間関係の距離感が学びやすくなっている」

 

からではないでしょうか。2009年に初めて九州大学の教壇に立ち、4年間北九州市立大学でPBLの教員を経験した結果、そのように感じています。さらに企業側が新卒学生に求めている、だからこそ大学教育にPBLやSLが広がってきたのではないかと(いわゆる地域●●学部みたいなもの)。広がってきたとは言え、まだごく一部であり、マジョリティにはなっていません。だからこそ、取り入れている大学と、そのプログラムを経験した大学生は「就職率が高い」と言えます。

 

だけどもPBLやSLを経験していない大学生は、主体性を発揮しなければいけない場に直面した経験がなく、お客様目線の受け身なまま。そして「ふりかえり」を持つ機会もなく、他者からのフィードバックを受ける機会もなく、「体験の言語化」もすごく弱い。実践には「ふりかえり」、そう「リフレクション」が必須なのです。

 

だから教員はコーチングができるコーチでないといけないし、ファシリテーターでなければいけないし、大学や先生たちは、大学外の地域てのネットワークがないとそもそも教育プログラム化できません。多くの大学がこの分野で人材不足だと思います。さらに言うと、中学や高校の教員では少人数制の授業などもなく、なおさら人材不足だと思います。

 

この分野で、九州で先頭を走るのが北九州市立大学の地域創生学群。知ってる高校の先生はこぞってこの学部を高校生に推薦し、西日本の多くの大学が視察に訪れるため、年々倍率が上がっています。2017年の入試では定員増やしたのに約11倍!(北九大の他学部の数倍!)

 

リーダーシップ開発にソーシャル活動が向いてる理由

日本中、地域には必ず何かしらの課題があり、ボランティア団体やNPOが存在します。さらに越境すれば世界には日本以上の多様性と課題がありNGOもあります。それらは「行動という支援」を常に求めていたりします。だから雇われる必要がないものも多くて、自ら手を挙げて飛び込んで信頼得たら、年齢や経験問わずすぐいろいろ任せてもらえる環境があります。

 

アルバイトでは比較的単純な作業しかないし、現在の企業インターンは「企業が大学生をお客様扱いする(企業イメージや優秀な学生を捕まえたいがために)」ため、リーダーシップ開発には繋がらず、さらに企業としても新卒で入社して数年以内でやめられたら困るので、ゆっくり慣らして組織に染めていくように人事のオペレーションが設計されています。

 

でも地域活動やソーシャル活動にはそんなものがありません。課題解決に向けた「今すぐの行動」が解決や貢献に繋がるという環境があります。さらに手を挙げて行動を起こせば成果となって返ってきやすい。そして感謝や成果が目に見える!

 

・多様な他者との人間関係構築

・目標に向かってコミュニケーションを重ねる必要性

・主体性がないとおもしろみもない

という現場。

 

だからこそ、高校生から大学生、社会人でも「リーダーシップ開発の実践」が、もっとも身近に、そして手頃に経験できるのがこの分野だと言えます。

 

ただしここには教員もファシリテーターもコーチもいないから、「リフレクション」つまりふりかえりを提供してくれる人や仕組みがない、というのがほとんどではないでしょうか。逆に地域活動やソーシャル活動において「リフレクション」や「他者からのフィードバック」を得られるような設計がされているところは、リーダーシップ開発され、本業でも成果を出す人材がどんどんと出てくるでしょう。(テンジン大学ではそうなってる!と確信持って言えます)

 

リーダーシップ開発が国・地方・地域全体でできるようになるには?

地域活動とかは総務省?学校や社会教育施設を持ってるのは文科省?経済活動に繋がる人材育成は経産省?離職就職率とかニート引きこもりとかは厚労省?みたいな縦割り構造なので、横串を刺した仕組みをつくらないと、日本という国・各地方・そして各地域のエリアでリーダーシップ開発をいたるところでやれる環境はつくれないと思いました。もったいない!機会はそこらじゅうに転がってるのに!

 

でも社会は今、この視点に気づいて点と点が繋がってきたので、大学が地域に教育機会を求めたり、民間が独自に展開したり、自治体が教育委員会とは別のラインで中学生や高校生のリーダーシップ開発をはじめたり、地方自治体と地方銀行がタッグを組んで起業家育成のためのプログラムにリーダーシップ開発を取り入れたり、ジワジワ&まだまだ広がっていきそう。そして広がると精度の高い仕組みが出てくるはず!と期待したいです。

 

ちなみに「福岡」で、いち「個人」で、リーダーシップを発掘してコミュニケーション力とか付けたいな~!と思ったら、ぜひテンジン大学のスタッフへ!(笑)他人と関係しながらコミュニケーションとりながら主体性と企画力とチームワークと、そしてリーダーシップを鍛えられる「実践」を用意しております!さらに授業企画を何度かやれば、ネットワークもつくれるし、プロジェクトマネジメントの実践もできます。

→ 福岡テンジン大学のスタッフ募集

 

最後に・・・ソーシャル分野がリーダーシップ開発に最も向いていると思う理由!

 

それは「雇用」の有無です。企業など組織に所属していると、雇用されているマネージャーやリーダーが、これまた雇用されているスタッフ・メンバーという資源を使って仕事をしていきます。雇用関係上、ミスさえしなければ「金銭」という報酬は得られるため、「コミュニケーションして、目標設定や動機付けからの行動を促す」というリーダーシップ開発の実践が薄まってしまいます。だって、強制的に指示してやらせることもできてしまいます。ここにはリーダーシップがあまり必要ありません。

 

地域活動&ソーシャル分野、とくにボランティアによるチームでは「金銭」という報酬が絡むことが少ないため、なおさら「目標設定」「動機付け」「行動を促す」というコミュニケーションの難易度が上げられ、リーダーシップ開発のレベルを数段階上げてくれる=数倍の経験値が蓄積できる、と確信しています。


岩永真一(福岡テンジン大学・学長)への講師・講演依頼について

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