2024年1月15日(月)に、福岡市の隣、那珂川市の社会教育委員への研修に講師として声をかけていただいたので、その準備をしていた数日前、長男(10歳)とAIを使った対話が起きたので「新しい技術(AI)を、子どもと学ぶ社会教育」について書いてみる。
驚異的な速度で成長しているAI
2023年の12月1日、MicrosoftのCopilotがリリースされたというニュースに触れ、スマホアプリもあると知り、さっそくインストールした。昨今話題のAIだ。2023年はまさに生成AIが話題で、Chat-GPTの名前を知らないビジネスマンはいないんじゃないかというほどで、自分もすでに仕事で何度も活用し始めている。
そんな2023年の年末に入った休日、テレビCMでライフネット生命が流れた。このライフネット生命の創業者は、2023年でAPU(アジア太平洋立命館大学)の学長を退任された出口治明さんというのを思い出した。2018年のテンジン大学開校8周年記念授業でゲストとしてお呼びし、たいへんな読書家であることを知ったので、それを長男に話した。
「ライフネット生命の会社をつくった人はね、もうおじいちゃんだけど、すごい読書する人で、小学校・中学校のとき、図書室にある本を全部読んだらしいよ」と。
せっかくなので、著名な方だしAIにも聞いてみよう!とスマホを取り出し、Copilotに出口さんのプロフィールをしゃべってもらう、というシーンがあった。
1つの興味から社会のことに繋げていく親子対話
我が家3人の子どもの中でも、特段「お金」に関心の高いのが長男。2022年からお金に興味持ち始めていたので、円安・円高、インフレ・デフレなどは説明をし、ときおり為替相場で「今、日本円は1ドルいくらだよ」など話していた。
すると2024年1月11日の夜、長男がいきなり「いま円はいくら?」と聞いてきた。
自分「ドルのこと?今は1ドル145円くらいだよ」
と答えると
長男「アメリカ人にとって10ドルは、日本人にとっていくらくらい?」
と物価の感覚を聞いてきたので、インフレ・デフレを改めて説明したあとに
自分「ビックマック指数というのがあるよ!」
と伝え、スマホで検索しつつ説明していた。
子どものなんで?に新しい技術を使って答える
自分が長男から質問されたときに、あえて“スマホで検索して、なるべく正確に、なるべく細かく伝える”を心掛けているため、長男も質問が加速するときがある。この日の夜も
長男「じゃあ南海トラフが1年以内に起きる確率は?」
(スマホで検索して、日本地図の画像解説も見せながら説明)
すると次は
長男「じゃあ、宇宙から地球に野球ボール投げたら何キロくらい出ると?」と聞いてきた。
これは質問が雑で、物理現象として“宇宙のどこから投げるか”でスピードは違うので
自分「宇宙のどこから投げるかでスピード変わるからどのへん?」と逆質問すると
長男「じゃあ国際宇宙ステーション!」と返ってきた。
ここからがAIの出番だ。
自分「そういうのはAIにきこう!」
(スマホでCopilotアプリを開き、音声入力で質問)
※あえて音声入力にして、長男にも聞こえるカタチで質問するのも意識的に
AI「国際宇宙ステーションから、どっちに投げるかでスピードが変わるから~うんちゃらかんちゃら(本当は丁寧に、非常に細かく解説しています)」
自分「じゃあ・・・。国際宇宙ステーションから野球ボールを地球に向けて落としたら、どれくらいスピードが出ますか?」
AI「(またものや丁寧に非常に細かく解説)」
※結果的に時速約30,000㎞ほどという回答を得る
このとき、AIの解説は大人向けだが「物理の原則」「重力加速度」「空気抵抗」など言葉が出てきて、かつ長男が初めて聞く公式などが出てくる。言葉の意味はわかっていなくても、“なんとなく、物理現象としてそんなことがある”というのを知ってもらうだけでも、この意味は大きいのではないか、と思うわけである。
自分「時速30,000㎞って、地球を4分の3周やね。はやっ!」と言うと
長男「日本からイギリスに向かって投げたら、ハワイ?アメリカくらい?まで行くんやね」
社会教育の“社会”側が変化してるので、“教育”も変化
週が明けたら那珂川市で社会教育委員の方々に「これからの社会教育」についての講演をするための、すばらしい素材となりうる体験になった。
そして、AIやロボットの現在地を確認し、これらが実生活に実装されていくフェーズがあと数年で目に見えるカタチでやってくることを確認。インターネットの出現と、AIの出現と、長らく続いた安定した社会に大変化が訪れているわけで、子どもだけでなく“大人”も学んでいくこと、社会教育にそれが反映されることが望まれるのではないか、と思うわけである。
情報技術について、子どもたちは学校で多少は習うかもしれないが、大人が学ぶ機会は自ら作らないとほぼない。これからの子どもたちだけでなく大人も、自分が長男とともにAIを使ったこういう学び方をしていくことで、知識だけでなく、社会の様々なことと繋げて物事を考えることができる。
「新しい技術(AI)を、子どもと学ぶ社会教育」について考える良い機会となった。