講師・講演

赤坂小学校で先生してきました

福岡市中央区にある赤坂小学校。先週金曜日に「環境学習」ということで、小学校3年生の先生をしてきました。

 

 

10歳から80歳まで

よく社会人成りたての若者や、大学生たちに「コミュニケーション力を伸ばしたいなら、10代から80代まで幅広く友達を作れ」と言っています。理由は簡単、各年代で使われる言語が違うので、おのずと「伝える力」、いわゆる相手に合わせた言葉選びができるようになるからです。今回は赤坂小学校の3年生の年齢は10歳です。8月には中学生と高校生のファシリテーターを、テンジン大学では20~40代くらいの社会人をメインに、北九州では50代・60代メインの市民センター館長さんたちに研修、福岡市の公民館へ行けば60・70・80代の方々へ講師やファシリテーターをしてきました。

 

思えばこの福岡で、小学生・中学生・高校生・大学生の前で先生している人ってどれくらいいるんでしょう?ましてや社会人から、引退した60歳以上の方々にも先生している人はどれくらいいるんでしょうか。気づけば相当珍しいような気がします。その幅、10歳から80歳。

 

 

年代によって言葉選びが違う

当たり前ですが、10歳には難しい言葉は一切使えません。冒頭の写真は環境学習で使ったスライドですが、漢字を使うことすら1つ1つ調べて3年生で習ってるかどうかを知っておかないといけません。70歳前後がメインの、公民館で講師するときはいわゆる「カタカナ語」をあまり使わないように意識しないといけません。このように、その年代によって経験値が全く異なるため、同じことを伝えたいとしても、その説明の仕方は各年代ごとに違います。

 

これらの経験をして感じたことがいくつかあります。60歳以上のいわゆる高齢者(実際は60歳なんてまだまだ若いです)は、僕たち若者から見たら一般的には、話が通じない相手と思われます。かたや大学生・高校生はスマホ世代ですし、高齢者より話が通じそうな気がします。ですが実際は、何かを伝えることについては、相手が経験値があればあるほど容易になります。そう!高齢者の方々との会話の方が、脳みそが疲れないのです。

 

では一方で10歳は疲れるのか?というと、疲れません。

 

 

コミュニケーションはキャッチボールだ!

実は一番疲れたのは中学生でした。小学生まではリアクションがすごいです。スライド見ながら、もう期待通りのリアクションが返ってくるわけです。「えーーーー!」とか「うわぁ~・・・」とか。だからやりやすい。高齢な方々は、リアクションは薄いですが、それでも頷いたり、目を見ればだいたいわかります。20~50代は言うにおよばず。

 

中学生・高校生・大学生がちょっと難易度高いです。大学生は幾分、自分で考える機会も出てきて、発言もしっかりしはじめ、あまり問題なさそうですが、「自分の意見・考えを言葉にする」というのができない人がちょいちょいいます。その原因が中学・高校にあることが実は彼らとコミュニケーションとっているとわかってきます。

 

一番難しかったのは中学生、次に高校生。なぜ難しいか?彼らは毎日学校へ行きます。その学校は基本的に「受験」のための情報を提供される授業を受けています。ほぼ一方通行で。小学生のときまでは受験なんて意識せずに、毎日を素直に生きている子が多い一方、中学校の先生たちの質?文化なのか、受験という目標が常に付きまとう環境に身を置かれます。高校なんてなおさら「受験」です。そうなると、中高生からリアクションというコミュニケーションが消えます。コチラ側がいろいろ話しかけても、リアクションが「明確」じゃないのです。普段、それをする必要も機会もないから。他のどの年代より、リアクションがあいまいで、下手なのです。

 

そしてその受験勉強の授業の弊害が「自分で考える」という機会が少ないのか、どうも「考える力」が全然身についていない。そしてもう一つの弊害が「考えたことを、自分の言葉で発言する」という機会もないことです。ひたすら暗記を良しとする受験のシステムが、中学・高校という6年間で、彼らのコミュニケーション能力からこれらのことを伸ばす機会を奪っていると思われます。

 

これが大学生になった途端、「自分で考えて行動」を求められはじめます。だから、なかなかそれができない大学生もいます。ここで躓くと、社会に出てたいへんですよね。そもそも、就職活動でうまくいってない学生はその傾向がありました。

 

 

変わり始める教育の文化?

代々木ゼミナールが事業規模縮小のニュースは日本中をビックリさせたようです。その代ゼミが得意としていたのが私立文系の大学受験だそうですが、この事業規模縮小は「暗記受験との決別」と言っている記事もありました。近年の中堅大学がAO入試を増やしていて、面接重視・人柄重視に移ってきているからだそうです。日本中の少子化進むエリアの中堅以下の大学は、もう改革待ったなしの状況です。だから、優秀な教育者と学生が欲しいのです。その優秀とは、知識に優れた人ではないのです。

 

文科省の方針も少しずつ変わってきてます。小学校の教育もずいぶん変わってきています。ですが教育業界の中で言われているのが、中学・高校が変わらない・・・と。そもそも変えようがないですよね、「受験」というゴールがある限り。でもそれも徐々に変わろうとしています。

 

暗記ではない、知識という情報をどう使いこなすか、コミュニケーションをはかりどうチームを導き貢献できるか、に教育が重点を移し始めたとき、肝心の教育者ってまだまだ養成できてないですよね。まさにいまは過渡期なのかもしれません。

 

 

え?

冒頭の「おとうさん、おかあさんがポイすてしたら」

どうしたらいいのかって?

 

小学生たちにはこう伝えました。

「カッコイイことしたい人?」 (ハーイ、ほぼ全員手が挙がる)

「カッコ悪いことしたい人?」 (誰も手を挙げない)

 

だから、おとうさん・おかあさんがポイすてもししたら

「カッコ悪い!」って言いましょう

 

自分の子どもから「カッコ悪い」って言われたら

ダメ!って言われるより、キツイです(笑)



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