テンジン大学

福岡のDNA~都市には受け継がれる何かがある~

2016年3月、まだ熊本地震が起きる前、熊本県菊池市にお呼ばれして講演してきました。そのときに僕が投げかけた言葉は「まちには遺伝子のようなものがある」「菊池の遺伝子ってなんでしょう」。

熊本県菊池市の「キクチノ和」で講演してきました

 

まちの遺伝子・都市のDNA?

街の歴史に詳しくなり、その街の様々な統計データや文化・人の気質みたいなものまで知ってしまうと「行き着く」と思っているのがこれ。とくに福岡は(というか古くは博多は)2000年以上も前からたくさんの人が住んでいた都会でした。京都よりも長く蓄積された歴史があります。それだけにずっと“人”を介して、この街に今なお残る文化というか、人の気質みたいなものを見つけてしまうのです。それを言葉にすると「遺伝子」とか「DNA」というものになってしまいました。

 

それで僕は使い始めていたのですが、今年秋にもう1人使っている人を発見しました!福岡市博物館の有馬館長です。先日の11月30日にテンジン大学×イムズの授業で、先生していただくにあたって事前に2回打ち合わせをしたのですが、2回目の打ち合わせの直前に「館長ブログ」が更新され、タイトルを見ると・・・「あっ!」。

 

都市福岡を極める/究める~その③ 150万都市のDNA~

 

さらに高島市長まで「福岡のDNA」と言い出した

2015年の秋ごろだったような。福岡市の高島市長がどこかのメディアのインタビューで、福岡の歴史のことをもっと福岡の子どもたちに知ってもらいたい、というようなことを語っていまして。その頃から「安曇族(あずみぞく)」のことを高島市長はどうもキーワードとして使っているようです。それを知って、高島市長もこれだけ忙しいのに、誰かに聞いたりして興味持ってけっこう調べたりしてるんだろうなぁと感心しました。

 

そして2016年12月、高島市長がプレゼンしているのを見る機会があり、そこで「福岡のDNA」という言葉を用いてました。なんと!福岡市博物館の有馬館長だけでなく、市長まで!と。

 

ところで「福岡のDNA」って?

上に福岡は京都より歴史が長い、昔から都会だ、と書いてますが、詳しくはここで語りだすと長くなるので、有馬館長のブログのこちらの記事をおススメします。

「上書き都市」福岡と歴史の古層 ~ブラタモリから考える~

 

僕がそもそも「まちには遺伝子があるなぁ」と思った理由は、4~5年前から思っていたのですが、そもそも福岡は、博多は、大陸から船でいろんな人や物や情報・文化・技術が入ってきた港だったことは周知のとおりですが。

 

1420年、朝鮮国王使というのが博多を通って、瀬戸内海を通り、京都へ行き天皇に会い、国に戻る、という行程を日記にした「老松堂日本行録」に博多のことが載っているそうです(載っているという本を読みました)。そこには、博多を当時治めていた武士(九州探題の渋川家)の代官が、過剰なまでの接待をし、酒を用意していた、そうです。そしておもてなししてくれたその代官を褒めちぎっているそうです。

 

わざわざ日記にそのようなことが書いてあるって、なんか福岡・博多らしいというか「昔から変わってないなー」なわけです。福岡人って、とりあえず東京や関西や他地域(なぜ九州外)から来た人を異常なまでにおもてなしするというか、「福岡を好きになってもらうために全力を尽くす」ところがあります。そして、その異常なまでの行動は他の都市・地域には見られにくい特徴が1つだけあります。それは・・・

 

もともと福岡出身でも育ちでもないけど、移り住んだ人まで「福岡っていいところやろ?」と言い出すところです。この現象に上手に名前を付けたいのですが、これは太古より「港町」として暮らす人々がやってきた文化そのものではないか?と思うようになり、人が替わっても、時代が代わっても、それが脈々と続いてるって「これはもう遺伝子としか言いようがない」と思ってしまったわけです。

 

福岡のDNAのキーワードは「交通」

これは有馬館長から教えてもらいました。古くより人・物・文化・技術が往来するためには、そのハブ機能としての「港」が整備され、各方面への航路・道路が整備されていく。その整備されたものを活用してまた人が集まる。だから福岡は、博多は「交通」と切っても切り離せない、と。

 

「だけど1度だけブレたことがある」。有馬館長はこうも教えてくれました。それが冒頭に出していたこのイラスト地図。

2016-1205a

※福岡市博物館・有馬館長ブログより引用

 

これは福岡商工会議所が昭和10年代に発行した「観光マップ」。当時、観光の情報と言えば「地図」が最大なる情報源だったわけです。この地図の全体像はこちら。

2016-1205

※福岡市博物館・有馬館長ブログより引用

 

これを描いたのは前田虹映(まえだこうえい)さんという方で、原画は福岡市博物館にあるそうです。この前田さんの師匠である吉田初三郎さんという方も、福岡商工会議所から依頼されて前田虹映より前に「観光マップ」を描いてるのですが、そのマップには「博多から筥崎浜にかけて埋め立て地」が描かれています。そう!当時の福岡市はその埋立地に「工場を誘致」しようとしたのです。

 

明治からの日本は富国強兵、そして工業化です。戦後も発展したのは工業化に成功した都市だし、北九州なんて昭和前半まで九州ナンバーワンの都市だったわけで。福岡も多分に漏れず「工業化」を目指そうとしたそうです。でも・・・「結局、1件も誘致できなかった」ことで、やっぱり「観光」路線しか残されてない・・・ということでこの前田虹映の「観光マップ」になったそうです。

 

上の一部拡大の図を見てください。西公園と愛宕神社の間、百道浜のところに「海水浴」している人が描かれていますが、なぜかここに「蒙古兵」と「沈む蒙古の船」が描かれています。

 

と、これは全て有馬館長に教えてもらったお話なので、ちゃんと詳しく書いてある有馬館長ブログを見てください(笑)

 

都市福岡を極める/究める~その③ 150万都市のDNA~



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