働き方・ワークスタイル

複業フリーランス~パラレルキャリアな2018年のふりかえり~

人は自ら見聞き・体験したものの価値観でしか判断することはできません。まだ日本人の働き方のほとんどが「雇われる」ことが前提となっていて、社会制度から法律から教育までが、均一化された工業製品を製造する「モノづくり企業」で働くことを前提としたような設計を、平成が終わろうとしている今も続けているので仕方のないことなのかもしれません。

 

2018年12月28日、今年の仕事も納まり家に帰るとポストにフリーペーパー「リビング福岡」の新年号が入ってました。2019年の新常識という見開き2ページ分を使って紹介されているのは「SDGs」と「パラレルキャリア」と「eスポーツ」。この「パラレルキャリア」について「お話を聞かせてほしい」とリビング福岡の記者さんからお問合せをいただき、その後インタビューを受けた結果が記事として出ています。

 

パラレルキャリア?複業?

パラレルキャリアという言葉は1999年にP・F・ドラッカーの著書「明日を支配するもの」に登場した言葉で、Wikipediaにはこうあります。

歴史上はじめて人間の方が組織よりも長命になったために、人は組織のみに頼らず、それとは別に第2の人生を始める必要が生じたという。その第2の人生のひとつがパラレルキャリアである。
引用:Wikipedia「パラレルキャリア」

 

なので僕もリビング福岡の記者さんにそれを伝えたため、記事には冒頭でそう紹介されている。でも小さなスペースで、そもそもフリーランスも、複業も、そしてパラレルキャリアも紹介することは不可能に近いよなって思いました。だって、世の中の大半の人は「雇われること」が前提で生きてきて、働いてきているから。

 

ドラッカーはパラレルキャリアを、本業以外にも「社会的な活動(非営利活動)」をすることで、第2のキャリアを歩めるようにという文脈だったようだけど、近年日本で使われるパラレルキャリアは少し意味合いが変わってきているようにも思います。

 

とは言え、僕は街のおそうじをしているグリーンバードや、福岡テンジン大学、WeLove天神協議会、フリーランス協会など、社会的活動を複数持ちつつ、民間企業3社の非常勤社員を名乗らせてもらい、企業のマーケティング活動の受託業務などもして、かつ複数の大学でも非常勤講師をしているのでパラレルキャリアとも言えるし、複業とも言えるフリーランスです。

 

そんな僕の会社員を2009年に辞めて10年目にもなる2018年を、言語化するためにふりかえってみたいと思います。

 

2018年のパラレルキャリアふりかえり

2016年度より開館する前の福岡市科学館の仕事が、続いてはいるもののいろいろ体制変更で、関与の仕方も変わったり。

福岡の築古な賃貸ビルを、DIYリノベーションという手法で再生する事業を手掛けるスペースRデザインの社長との、定期的な情報交換ランチがキッカケで10%社員ということで雇用契約を結んだり。

福岡の大手や商業施設などが広報PRを企画面から依頼しているPR会社キナックス・ホールディングスに「とりあえず給料は無しからスタートで良いので」と半分押しかけ的に社員になったり。

とある商業施設の販促や広報に携わる会議体のメンバーになったり。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会(長い!)の福岡HUBリーダーになったり。

 

今年も新しいことが始まった一年でもあります。パラレルキャリアとか複業とか、よくわからない人にとってはこの時点でもう意味不明かもしれませんね。

 

自分の中ではフリーランス協会の地方リーダーになったことで、「働き方」や「フリーランス」に関する最新の情報が東京方面からどんどん入って来るようになったことがとても大きいです。フリーランス協会は、字のごとくフリーランスの方々が、まだまだ日本社会が画一的な文化から脱却できておらず、自らの地位・世間体・立場・法律や社会制度で守られてない点などを「変えたい」という熱き想いでプロボノ的に立ち上がった組織。なので、国や関係各所に積極的に働きかけをしています。

 

・フリーランス向けの損害賠償の保険メニューをつくってる

・国の関係各省庁への委員や会議に出席しロビー活動

・全国のフリーランス向け企業との提携

 

詳しくはこちらをご参考ください。

 

これからは福岡の中小企業が求める人的ネットワーク&アイデアを提供できる複業へ

2018年の秋ごろ、とある企業の経営者から「うちの会社をゆずるって言ったら、やってみる気ある?」とランチしているときにいきなり聞かれました。まったくその気がなかったわけではないですが、今現在はいろんなところから日々相談が舞い込んできている状況と、子育て期間でもあり、仕事時間をなるべくセーブし、夜の会合関係もことごとく断っている状況なので、経営者は福岡テンジン大学と、自分一人しかいない個人事業のみで、今は引き受けられないと回答しました。

 

すでに社員がいる会社の経営をゆずり受けるって、その経営者も引退するわけではなく、プレーヤー的に存在するつもりだとは言え、責任を感じるので昼夜関係なく1年ほどは時間をフルに使ってしまう自分を想像し、家族は絶対に犠牲にできないなという感情が動いたので、きっとあと数年はやらなさそうです。

 

このように、不動産会社、PR会社、食品メーカーの非常勤社員をしつつ、その他にも会社の部長やマネージャーなどから相談・依頼される機会が増えてきました。その役割が「経営者orマネジメント層のメンター」「社内のリソースでは補えない、人的ネットワークや手法・アイデアを取り入れたい」ということだったり、「企画のブレストから入り、カタチにしてまわしていくディレクションの部分までをやってほしい」という内容だったりします。

 

これらの共通点はどれも「社内の人材だけでは、今ある課題に最適解を出せないから、力を借りたい」ということだと思います。これって、地方の中小企業の多くが抱える悩みの一つなのかもしれません。

 

これら経営者や中小企業の悩みに、自分が持つ社会的な視点とネットワークが加わることで、地方の持続可能性が高まるのであれば何より嬉しい。2019年は、この点にもっと重点を置いて、動いていきたいと思います。



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