近年、地方に本社のあるファミリービジネス企業や地方自治体から「研修」の相談が増えてきました。その内容も、個別具体的なものが多いのですが、集約すると「社員・職員のコミュニケーション」や「人間関係」「モチベーション」をどう向上させるか?の課題になります。そしてこれらを解決するような研修は、エンゲージメント向上や心理的安全性の向上などを目的とした、いわゆる1人1人のっスキル向上や生産性向上の人材開発というより、組織全体の活性化や生産性向上を図るような組織開発の内容の研修になります。
日本の企業組織はエンゲージメントが低い
もうご存じの方も多いと思いますが、国際比較の日本における企業人の所属している会社へのエンゲージメント、いわゆる「仕事への熱意」は世界最低レベルに低く、世界平均が約20%前後で推移してきているのに対し、日本は約6%前後をうろうろしていて上がりも下がりもしない状況を長年続けています。
参考記事:なぜ日本人は「仕事への熱意」が145カ国で最下位なのか(PRESIDENT Online)
経営における組織活性化には、科学的な目線や手法がどんどん浸透しており、アメリカでは約30%前半で、世界平均はじわじわ向上してきていたりもします。そんな中、日本ではずっと低迷しているのは、経営に「エンゲージメント向上」の意味・意義や効果が浸透していない証拠なのだろうな、とも思っています。
そんな中、スタートアップや若い創業者の企業、成長著しいベンチャーなどでは、社員の離職率も高いものの、入社してくる若者もおり、研修がなくても回っていたり、強いリーダーシップが社内で可視化されやすく、エンゲージメントは比較的高かったりもします。
さらに、エンゲージメント向上の意義や効果を知っている経営者もいて、研修メニューが充実していたり、そのための組織体制や仕組みを持っている中小企業も存在します。
この違いは何なのか?いろいろな企業に訪問したりお話聞いて、明確に違うのは「経営者にその意識があるかどうか」ですね。
地方企業のエンゲージメントを高める研修
で、今回オススメしたいのは
- 組織の歴史がそれなりに長い
- 毎年新入社員がいる
- 新入社員や若手の組織への理解度や責任感がなかなか育たない
- 新入社員研修はあるが、アクティブラーニング型ではない
そんな企業や組織のエンゲージメント向上に向けた研修プログラムです。
創業が明治・大正や昭和初期でいまだに顕在な企業は、創業者や2代目の並々ならぬ胆力や時代を見る眼、行動力があって組織基盤ができているわけですが、その歴史ってなかなか伝わりません。
創業が平成の企業でも、すでに2代目に交代していたり、インターネット登場前と後、社員全員にパソコン支給したり、働き方改革やブラックな職場環境の是正、さらにグローバル化・人口減少など、いろんな変化が起きています。
そんなビジネス環境が刻一刻と変わる中で、その企業や組織が「生き残り」をかけて四苦八苦しながらも成長したり、時に痛みを伴ってきた文脈を「アクティブラーニング型」で学ぶという研修です。
先日、熊本に本社があり創業75年の歴史と九州一円に約700名の社員がいる企業の新入社員研修を担当して、4~6月末までの新入社員研修期間で計5日間を担当しており、6月前半に4日目として「この研修」を実施したので少しレポートすると。
- 入社2カ月での会社のイメージを言語化(チェックイン)
- 会社が創業するまでの時代背景を産業やインフラ、人口などをもとに解説
- アクティブラーニングで、社史や様々な会社の過去情報をもとに年表作成
- 時代背景と照らし合わせて、社内の出来事・発言・意思決定などを想像し言語化
- 会社のイメージの変化をふりかえり言語化(チェックアウト)
このような流れで1日かけて進めました。
チェックインで、入社2カ月経っての会社のイメージは、どこか「まだ会って間もない、距離感が少し縮まりかけている友だち」みたいな言葉が飛び交っていたものが、終わりのチェックアウトでは完全に180度会社の印象が変わっており、尊敬から来る言葉が並びます。
これらを「アクティブラーニング型」で、要するに新入社員たちが自ら「情報を収集し、編集し、その時代背景と照らし合わせることから“見えるもの”“感じること”」を言語化することで、時代の荒波を乗り越えてきた過程を、まるで映画1本観たかのような感覚で吸収してくれます。
そうすることで、会社が乗り越えてきた苦難の道のりを、「そもそも知らない、よくわからない」状態から、「時代背景含めて、疑似体験した」ような感覚になるため、会社に誇りが芽生え、目の前の仕事だけでなく、創業者がつくってきた原点のような組織のDNAみたいなものがインストールされていくのです。
こちらの企業は、昨年度の新入社員研修も「この研修」を実施しており、この研修を体験していない社歴2年以上の若手社員と比較され、やはり視点や責任感や行動に差があると聞いています。(この研修を経験していない若手社員がかわいそうだ、という声もあるとか)
その企業・組織にしかない、唯一無二の文脈をアクティブラーニング型で学びインストールする研修、これはAIにも動画学習でもできないものです。きっとまだまだ需要はあるのではないか?と思いつつ、これから少しずつ広げていきたいと思います。









