働き方・ワークスタイル

AI中心にしない、自分中心の仕事をつくる

現LINEヤフーの会長であり、2026年6月に会長退任する川辺さんが、「AI従業員と新たな起業で人間を雇うのは非効率だよ」という記事が、日本経済新聞(5/6付)に出ていました。

LINEヤフー川辺健太郎氏、AI従業員と新たな起業 「人間中心は非効率」

X(Twitter)上では、「本当にそう」とか「AIソロプレナーの時代だ」とか、賞賛・前向きな反応が多いように思います。そして、資本主義の構造としてもきっと大勢がそっちの方向へ舵を切っていくのだろうなーと感じます。

今年の東京大学・京都大学の入試も、AIに解かせてみたら「首席合格」レベルだったと。

OpenAIとGoogle、東大理3「首席合格」数学は満点 得意科目に違い

今後、多くの野心的な起業家や経営者は、「非効率な人間を雇わず、AI従業員で業務を効率化し、利益率を最大化する」ようなビジネスへどんどん舵を切るだろうと予測されます。

フィジカルAIも、人手不足の日本では追い風で、医療・介護や運輸・交通など、自動化・ロボット化できる部分はどんどん置き換わるような気がします。日本は地方の隅々まで、生活インフラが見事に作られましたが、維持管理コストが膨大で非効率なため、今後は否が応でもインフラコスト削減のために、地方から都会へ人口が移される局面も出てくると思っています。(上下水道とかの維持管理、ほぼムリでしょって思ってます)

そんな中、主に「人に関わる」仕事をしてきた、ほぼ個人事業主(フリーランス)の自分は、残りの人生をどのような仕事をしていくのか?自分の仕事はどれほどAIに置き換わるのか?逆にAI中心で仕事をしておもしろいのか?それは現在の生成AIが登場する前の2018年ごろから考えてきて、まだ答えの出てない問いです。

“人の行動”や“人と人の関係”に関わる仕事は変わるのか?

2026年現在、いろんな仕事をさせていただいています。

  • 企業の人事部門(HR)
  • 事業承継絡みの組織づくり
  • まちづくり
  • コミュニティデザイン
  • 研修や講座のプログラムデザイン
  • ファシリテーター
  • 自治体の委員など

これら「人に関わる」仕事は、現在のPCやスマホがデバイスである状況では、まだまだ大きな革命的な変化は訪れないと思っています。コミュニケーションがそれらデバイスを通して行われるシーンが、リモート(遠隔)であるときに限定されるからで、ZoomやTeamsやMeetなどのオンライン会議システムを使った会議・研修・場づくりでも、五感のうち「触覚・嗅覚」は一致せず、とくに空間における空気(温度・湿度・二酸化炭素濃度など)を共有できないことが、対面でのコミュニケーションにどうしてもズレを起こすと思っているからです。

オンライン会議システムは優秀で、必要のない雑音(ノイズ)は自動で遮断されるようにできていることも、ファシリテーター的視点に立つと「コミュニケーションにズレを起こす要因」として見ることができ、対面コミュニケーションの環境にはほど遠いと思っています。(もちろん、「情報を共有し合う」には効率が良いですが、それ以上にはいかない壁がある)

今後しばらく、今のデバイスのままAI活用が広がる世界では、人と人のコミュニケーションはよりデバイスを通したものになり、人と人が信頼し合う関係づくりは「非効率」と省かれていきます。その中で、ビジネスは例えそれが通用したとしても、社会問題の多くが「リアルな現場の人と人の関係」から生まれている限り、「AI・技術中心で効率的につくられた構造や仕組み」では解決することができない、と思っています。

それに、ビジネスにおいてもあらゆる業種・業態がAI従業員に置き換えられるはずもなく、また1人経営者で全て完結するものの方が少なく、そこに「組織」や「人間関係」が存在する限り、そこから派生する課題の解決は、AIや技術だけではムリだ、という見立てをしています。

自分は、これまでその「組織」や「地域」の「人間関係」にアプローチしたり、デザインしたりする仕事をしてきました。

人と人が「同じ時間に同じ場所に集まる(いわゆる同期)」という、とても非効率な場で、講座や研修もしてきました。知識・情報の伝達や共有であれば、この同期は必要ないものの、「誰も正解を持っていない」、むしろそのときに「同期して集った人たちで一緒に創造していく」ようなことを仕事にしてきました。

さらに言うと、自分は「自分というこれまでの経験や価値観という文脈」を背負って、さらにはそれを「持ち出して」、自分という個性を最大限に発揮するような仕事の仕方、コミュニケーションの取り方を行ってきました。

(対話型研修で、話題提供×ワークなどで、顔つきがみるみる変わるスーツ来た男性とか、イキイキした顔つきになる高校生とか見るのは、本当に楽しいしエキサイティング!)

AIにはこのような「文脈」を持ち合わせてもおらず、例え使用する言葉が秀逸でも、その情報に経験や価値観という個性もなく、自分という代替は難しいだろう、と思っています。

でも、一切AIを使わないということでもなく、裏側の情報収集や思考の拡張、事務的な作業などではAIの方がはるかに優秀なので、現時点でもいろいろ頼っていることはあります。

「デバイスの進化」が起これば根本が変わる

と、ここまではデバイスがこれまでのPCやスマホ前提でしたが、今後AI活用に最適化されたデバイスが、どこかのタイミングで出てきて一気に世界的に広がるのでは?と思っています。スマートフォンというデバイスをアップルが出して世界的に広げたように。

とは言え、瞬間移動レベルの技術革新が起きない限り、五感のうちの「空気の共有」ができない限り、「人と人のコミュニケーションにおける、わずかなズレ」は修正されない、という見方をしています。

今後、フィジカルAIが発達し、そもそも人間じゃなくても、1人の人間かのように「共体験するAI個体」が現れ(もはや宇宙人と共生している感覚では?)、ある意味「人間」とは違う種族のような位置づけになってきたときは、自分の仕事はそんなAI個体に譲った方がいいな、と思います。果たして、それは何年後の社会にやってくるでしょうか。

ということで、AIの手は借りるものの、リアルな現場を持つ「組織」と「人間関係」がある限り、自分中心の仕事のレベルアップを、今後も続けていきたいと思います。



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