70年分の教育現場がコミュニケーションを鍛える

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世の中にこんな先生っているんでしょうか?いや、いると思うんですが、福岡だけで見てもきっと数少ないのではないかと今年を振り返って気づきました。写真は年に数回、講義をしている九州大学の伊都キャンパス。

 

ここ数年、先生をする機会が増えたのですが、その対象年齢は大学生だけでなく、下は小学校から、中学・高校生、そして社会人、公民館や市民センターなどに行けば上は80代後半までいらっしゃいます。

 

 

下は10歳、上は80歳までの幅で先生をする機会

教員免許も大学院修士も出てないのですが、両親が教職だったこともあって小さい頃からの夢が「学校の先生」でした。ですが高校生のときに「経営」「経済」とかの言葉に出会って興味を持ったこともあって、大学は「経営学科」なるところに進学したのですが。結局、教職免許も取らないまま卒業しました。

 

今から10年前の2004年に、初めて小学校の教壇に立つ機会を得ました。ボランティアで始めたグリーンバードがキッカケで、「なぜそうじをしているのか?」を話して欲しい、と総合学習の時間に講師として呼ばれたのが最初です。その後、中学・高校からも呼ばれるようになり、「社会活動」という意味で九州大学からも声がかかったことで、「先生ってやっぱりおもしろい」と思い、どうやったら伝わるか、学びに繋がるか、を真剣に考えるようになりました。

 

その後、テンジン大学を立ち上げてファシリテーションする機会が圧倒的に増えた頃、なぜか男女共同参画の分野で県内各地から呼ばれたり、地域活動の事例紹介という形で県外から呼ばれたりしましたが、そこでは主に60~80代の方々の主戦場でした。同じ登壇者ですら60代だったりするのに、そこにポツンと半分しか生きていない自分がいるのが不思議な光景でしたが。

 

 

年代の幅が自分のコミュニケーションを飛躍的に向上する

下は小学校3年生、上は80代と10歳から80歳くらいまで約70年間分の時間的ギャップがある人たちに、これまた環境や教育や地域活動、コミュニケーションやリーダーシップなどの多様な話題で呼ばれるので、毎回「その場に合わせたプレゼン」や「ファシリテーションの組み立て」を考えていきます。そしてその場の雰囲気や聞いている人たちの顔に合わせて言葉を選んだりしていました。というか、合わせないと「伝わらない」ことにすぐ気づいたんです。いつの間にか、どの世代にも伝える伝え方、言葉選びみたいなのが自然と身についていったことに後から気づきます。

 

そっか、コミュニケーションってこれか!ある意味人生最大の気づきです。だって、今までは「自分の言いたいこと・伝えたいこと」を話していたんですが、それ以降は「いかに伝わるか、理解して心が動かされるか」に思考が180度変わったんです。でもこれって、知識として教えてもらっても、実際に体験しないとなかなかわからないと思います。そしてそんな環境にいると、意識的にしていたのが、慣れてきて段々と無意識にできるようになっていく。脳の中にそんな思考回路ができた証拠ですね。こうなればコミュニケーションは得意になったと言ってもいいと思います。

 

それ以降、自分より若い人やコミュニケーションを鍛えたいと言っている人には「10代から80代までの友人を作りなさい」と言っています。同年代で価値観が違う、職業が違う友人をつくるより、時間というその時代時代の文化や価値観が違う中で育った10~80代という時間ギャップのある友人の方が遥かにコミュニケーションは難しくなります。でもその環境を持つことで、あらゆるシーンでのコミュニケーションが学べます。

 

 

コミュニケーションスキルの可能性

習うより慣れろ、なんて言葉がありますが、まさに真理だと思います。その環境にいれば自然と人間は慣れていきますからね。99%の人が天才ではありませんから、コミュニケーションを鍛えたかったら環境づくりに専念することですね。そんな環境なかなかありませんが。

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インターネットとモバイル機器が人々の当たり前のツールになってしまった今では、同価値観で少ない言語で会話が成り立つ友人ばかりになります。これは上に書いたことと逆行しているため、今後はコミュニケーション下手な人が量産されていくことが予想されます。そのための価値観の衝突や、感情の衝突は避けられず、ますます相容れない人・団体・思想なんかが増えていきますよね。

 

でも経済活動を行う企業という組織や、一定のルールの中でチームワークを発揮しなければならない組織なんかは、そんな個人の事情をいちいち聞いていられませんから、こんな価値観が多様化していく中で「人をまとめる」「人を動かす」のはますます難しくなっていきます。そこで重要になるのがコミュニケーションスキルだったり、ファシリテーションスキル、だと思っています。

 

このコミュニケーションって、無形で時と場合に応じてパターンが全く違うので、定型化できず資格化できません。ということは無限の可能性が秘めているとも言えます。このスキルだけを鍛えることってできませんが、多様な人と話す環境のある人には、自然と知識や教養がついてもきますし、インプットしながらアウトプットする環境でもあるので、コミュニケーションやファシリテーションスキルを鍛えたい人は、ぜひ10代から80代の人たちと話す機会を持つことをオススメします。


岩永真一(福岡テンジン大学・学長)への講師・講演依頼について

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