北九州まなびとESDステーション

稼いで再生!商店街の新しい試み

北九州市の小倉駅からモノレールで1駅、平和通駅のすぐそばに、古びたアーケードがある商店街「魚町サンロード」の一角に、オシャレなカフェ&バーができていました。写真はそのカフェ&バー「トリヨン」の上空です。

 

 

火事で焼失したビル跡地を再活用

僕が週2日程度、「大学生たちに地域活動を教育プログラムとして提供する」という特任教員(北九州市立大学)の仕事をしている拠点、まなびとESDステーションがある小倉の中屋ビルの横が、2012年12月に火事にあったそうです。僕が勤務を始めた2013年4月にはすでにさら地になっていたような気がしますが、その後ここに人気のおでん屋台「はるや」が進出してきて、夜はけっこう賑わっていました。が、さら地のままでした。

 

もともとの建物(土地)のオーナーは現在もいるそうですが、このさら地を「商店街で借りる」いわゆる町内会で借りることにし、さらにその上で北九州のリノベスクールなどを展開している「北九州家守舎」がコンテナをベースとしたカフェ・バーを経営することになったそうです。そうです、アーケードのある商店街のもともとビルだったところがさら地になり、コンテナのオープンな雰囲気のお店なので、その上空は屋根のない四角の空だったのです。

 

 

商店街の予算に貢献する仕組み

この「北九州家守舎」がやっているリノベスクールは、今では日本全国から人が集まるイベントになっていますが、もう人口がずーっと伸びてなく高齢化が進行してしまった北九州には、遊休不動産がたくさんあり、これらを「リノベーション」して価値を高める事業型プロジェクトやアイデアがたくさん出てくるように始まったのがリノベスクール。

 

このリノベスクールのすばらしいところは、実際に遊休不動産を持つオーナーに「その遊休不動産を使った事業プラン」をプレゼンするところ。その流れも追い風となり、このさら地を「商店街として活かす」ための取り組みとして、始められたのがこのカフェ&バーの営業なのです。

2014-10-17_2

なんと、このさら地の土地としての賃料は商店街からオーナーに支払われますが、さらにその上で経営されるカフェ&バーへの賃料は、売上に応じた歩合制になっている、と。その賃料の差額分が商店街の利益となるそうです。そうです、ここの商店街はこのカフェ&バーが儲かれば儲かるほど売上が上がる仕組みなのです。

 

 

問題が複雑な商店街の事情

実はこのサンロード商店街、アーケードが古く、また道路沿いの建物もかなり密集して立っており、かつ老朽化しています。いつまた同じような火事が起きてもおかしくない(実際には2014年夏に近くの1本違う筋の商店街で大火事が発生)という状況です。そのためついに「アーケードの屋根をはずして取り壊す」「床を歩いて楽しめるような西洋風な石畳の通路にする」ということが決まったそうです。

 

日本全国にある商店街は、そもそも街道沿いに商店が集中しているエリアで、その上にアーケードを設置して歩行者専用道路にしてしまっている「道路」だったりします。きっとこれは国交省が補助金付けたので、多くの商店街がこぞってアーケードを作った、というのな話を福岡市内の商店街の会長さんから聞きました。

 

そうです。なので、「アーケードを取り外す」という予算は、ぶっちゃけて言うと持ってない商店街もたくさんあるのです。実際に老朽化したアーケードが雪の重みで崩落する、という事故も起きているくらい。さらにこの問題をややこしくしているのが「商店街」の仕組み。そもそも街道沿いの商店をしていた「住民同士」の集まりで始まったため、会長は数年で交代制のグルグル回るものだったり、何かの決断を投票制にしていたり、全員一致じゃないと決まらなかったりと、とてもドロドロした世界らしいのです。

 

そりゃあ「今すぐ解決しないといけない問題」だとしても、動かない・動けないというのが日本の商店街の現在の姿なのです。大手スーパーやコンビニだけでなく、郊外型ショッピングモールに客を取られただけでなく、日本の人口ピラミッドの変化やライフスタイルの変化から、全世帯に占める「1人暮らし世帯」が過半数を超えるようになった今では、商店街でのショッピングは・・・です。

 

 

稼いで課題解決!という王道

そう!今回のサンロードもいわゆるどこにでもある商店街と同じような状況だったんですが、このリノベスクールが行われるくらいの土地柄、さすが若い人材(商店街店主たちよりも若いという意味で)も育っています。それがあって今回のカフェ&バー!商店街で稼いだお金はもちろん、このアーケード撤去費用に貢献し、その後の商店街の整備のための予算にも貢献するという今回の仕組みが出来上がったのです。

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(手前にいるキャップをかぶっているのが遠矢さん)

 

実際にこれを仕掛けている北九州家守舎の遠矢さんにチラっとお話を伺ったのですが、僕はホント感心しきりでした。こんなやり方があったのか!という。そしてどうやらこのカフェ&バー、取り組みがすごいこともあって、オープン後からテレビ等の取材もあり、雰囲気もめっちゃ良いのでお客さんが多いとのこと!当初の売上計画を上回っていて、人材不足で嬉しい悲鳴だ、と言っていました。稼いで街の課題解決をする、お金をグルグル域内で回す仕組みってすばらしいですね。

 

テンジン大学は「行政も、民間企業も手を出せない領域のところをやる!」という僕個人の想いもあってか、なかなか継続するための資金調達、いわゆる稼ぐ事業というのを作れていませんので、このあたりは見習わないといけませんね。やっぱり、土地・建物を使うとか、何か目に見えるものを販売する、とか、ヒトとヒトの心を縦にではなく、横に動かすだけでは、しっかり稼ぐ事業はなかなか作れませんね。これ、開校当初からの課題です。。。

 



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