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中学生&高校生の教育に一石

今年で3期生となる、福岡市の事業「中高生・夢チャレンジ大学」が閉校式を迎えました。約100人の中学1年生から高校3年生までの子たちが、福岡の第一線で活躍している社会人を講師とした様々なテーマの講座を受講し、閉校式では未来への自分への誓いを立てて修了します。

 

 

教育委員会でもない、経済界でもない、課題からのスタート

この中高生・夢チャレンジ大学は、その構想段階から参加をしていまして、福岡市の「こども未来局」と呼ばれる、子育て・子育ちに関することをまとめて扱う部署の事業として始まりました。このような、中高生向けの教育事業となると、普通は「教育委員会」が当てはまりそうですが、教育委員会の発想では「我々のやっていることに間違いはない」と既存の教育に否定ができないので、このような取り組みはまず生まれません。

 

 

次に、次世代の人材育成として危惧のある経済界は、実はそれなりに中高生向けの教育事業をやっていたりします。毎年、宗像ユリックスに1週間(?)ほど泊りがけで、日本全国の選りすぐり高校生120名ほどが集められ、「次世代リーダー養成塾」が開校しています。これはまず選考があり、それを勝ち抜かないと参加ができず、かつ参加費が10万円以上もするため、よっぽど高校生本人と親に「モチベーション」が高くないと参加できない、というものです。

 

 

もちろん、それだけのことをしているので講師陣は一流クラス。日本のトップクラスの人材が講師としてやってきますし、泊りがけのため高校生たちも夜遅くまで激論したりするようなハードな内容です。

 

 

そうです。そうゆうものともまた違う、この事業は福岡市における中高生たちをとりまく「とある課題意識」から生まれた事業です。

 

 

自分に自信のない子が非常に多い

それがこれです。これは福岡市に限ったことではありません。最近の中高生、だけでなく、おそらく25歳以下くらいはけっこうこの傾向があるように見えます。とくに男子、なぜか男子。そこで福岡市こども未来局の人たちは考えました。「福岡で活躍している大人たちに触れ、学び、いつか自分もこの福岡で活躍する大人になろう!」と夢や自信を持つキッカケをつくりたい、と。

 

 

そこに福岡テンジン大学をやっていて、小学校から大学まで幅広く講師もしていたグリーンバードに声がかかり、一緒に構想してきました。なので、目的は「よりレベルの高い大学へ行き、世界に出ていってもらう」ことでもなく、「経済界を引っ張るようなリーダー育成」でもなく、「いつか自分が育ったこの街に恩返し」という意識を持った、自信と夢を持ち、まわりを上手に巻き込んでいくようなリーダーシップを発揮している人材育成なのです。

 

 

講座は先生に丸ブリしてはいけない

もうこれは、テンジン大学で200以上授業を企画しているので十分にわかっていることなのですが、テーマごとの講座に先生を当てこんで「この日、この場所で、この時間で、このテーマで、お願いします」という、いわゆる講演型の講座はやっちゃいけません。なぜなら「学び」や「成長」につながりにくいからです。

 

 

テンジン大学もすべての授業にコーディネーターがいるように、中高生・夢チャレンジ大学も全ての講座に企画コーディネーターがいます。そして開校当初より、このコーディネーターを、テンジン大学で授業を企画していたコーディネーターがうけもっているのです。そこに、福岡大学の田村先生を学識者として声をかけさせていただき、入っていただきました。

 

 

10月5日(日)、3期生の閉校式が行われ、最後のワークショップがありました。僕は今年は、2つの講座のコーディネーターをやりました。「リーダーシップ」と「リフレクション」の講座です。

 

 

日本が遅れている教育要素

このリーダーシップの講座は、福岡のコーチングファームを経営している市丸邦博さんに先生をしていただき企画。彼が事業で展開しているコーチングは、今では人材育成に欠かせないメソッドになりつつありますね。そしてもう一つ、日本がたいへん遅れていて、義務教育はもちろん、高等教育にも大学教育にもなかなか浸透できていないのが「リフレクション」です。

 

OECDが推奨している教育のメインキーワードとして2つ上がっているのが、「クリエイティビティ」と「リフレクション」です。この2つとも、日本の教育にはなかなかない。クリエイティビティは辛うじて、いろんなもので補えたとしても、「リフレクション」は全然ないです。

 

 

今回、リフレクション、いわゆる「振り返り」という内省力を鍛える講座の先生には、福岡女子大の和栗百恵さんに先生をしていただきました。講座のタイトルも「人生のレールは自分でつくれる」です。他の「他人と共働で何かをつくる・考える」という講座とちょっと違うのが、ひたすら自己との向き合い、問いかけ、過去に意味づけしていく講座です。

 

 

リフレクションの効用は、未来への自分の自信です。過去を振り返り、それらの起きたあらゆる出来事が、今の人生にどんな意味があったのか、を振り返ることで自分に自信を持つことができる。何より、自分で考えて、行動するクセがつく。おそらくOECDもそのことがわかっていて、このリフレクションを教育の核に持ってきたんだと思います。キーコンピテンシーって書いてましたから。

 

 

 

来年も夢チャレンジ大学はあるのだろうか?

閉校式で、こども未来局の局長さんが1期生(当時中学3年、今高校2年)から来た手紙を読み上げ、僕もビックリしましたが、どんどんチャレンジして行動を起こしているようです。知ってる限りの僕が知り合った中高生たちの1期生もすさまじい成長を見せています。3期生のうち、4名が最後にスピーチしましたが、みんなが驚くほどの内容と自信を持ったスピーチで、「この事業をやって良かった」と思わせてくれるものでした。

 

 

しかし残念ながら、市の事業は普通は3年くらいで終わります。担当者がそもそも3年交代なので、1年目で現状を知り・2年目で構想・3年目で実現、4年目になるといなくなる、というのが通常で、今回の夢チャレンジ大学も、おなじタイミングではじまった「ミニふくおか」という小学生向けの、こども未来局の事業も、立ち上げた担当者がいなくなってけっこうたいへんな状況でもあります。果たして、来年はあるのでしょうか?

 

 

この、義務教育でもない、経済界の次世代育成でもない、そこに大人たちの利害があまり絡まない「課題意識」と「想い」ではじまった教育は、撒いたのは小さな少数の種かもしれませんが、いつかこの福岡の街で大きく花咲く日を夢見て、また来年もこの事業が続くのであればしっかりと時間を惜しまずはげんでいこう、と思いました。

 



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