ファシリテーター

対話が生まれる“場づくり”をどのようにファシリテーションしていくか

人は1日の中で無数の無意識の選択をしているという。所説あるが1日に1万回ほどの「無意識の選択」をしており、その無意識の選択の蓄積が人生をつくるし、意識を生み出して行動を促し、人間関係をつくっていく。その無意識に働きかける「環境」を自分で整備してつくっていくことは、自分の人生の「自ら創っていく、切り拓く」割合を高めていくことでもある。(とは言え、偶然がもたらすものの方がはるかに多いとも思っているけど)

 

人が付いてくる・巻き込まれるには理由がある

いくら優秀なカリスマ的なリーダーでも、リーダーシップある人でも、ファシリテーターでも、表情や仕草や言葉だけのコミュニケーションで、この無意識に働きかけるのは限界がある。逆に、自分のコミュニケーションを補うために環境づくりを上手にやってきた人が、カリスマ性をおびたり、ファシリテーションできたりしてきたんじゃないか?とすら思っている。

 

その環境が「場・空気」。その場(会場)の大きさや照明の位置、明るさや光の色、温度・湿度、そしてどれくらい音が響くか、抜けるか、背景は何色でどのくらい明るいか。人の五感で感じるすべてのものがコミュニケーションに影響を与える。

 

そして「音」。無音だと人は緊張する、ましてや他人が比較的近いところにいるのに無音だと、なおさら緊張する。逆に自然界の音があふれてる(風の音、鳥や虫の声、川の音など)と、リラックスしすぎるので上手に利用したいところ。オススメは、ややアップテンポで明るい気持ちになるような「人の声」が入ってないBGMをノイズに近いくらいの音量で使うのが、これまでの経験上良さそうだ。

 

先日、偶然付けていたテレビで「東大に合格した人たちのとある共通点とは?」で、編集されていたとは言え、その共通点は「アップテンポの曲を聞きながら勉強していた」こと。そう!音って人の脳にいろんな働きかけをしているってこと。

 

対話を阻害する利害・上下関係の壁を溶かす

最後に「文字」。この文字の使い方が時と場合によっては効果を発揮する。人の五感の中で、一番の情報量が入ってくる視覚。その視覚と聴覚がセットとなって、目の前の人の「発言」が入ってくる。このとき、「発言」された情報とセットで、無意識に入ってくる情報がある。発言した人に紐づいたあらゆる情報、つまりその人の雰囲気・表情・間の取り方。このとき注意したいのが、その人と同じ職場だったり過去に何かしらのやりとりがあったとしたら、年代・価値観・職業・役職・立場などの目に見えない情報がすでに頭の中に格納されており、それが無意識に入ってきた発言・雰囲気と結びついてしまう。

 

実はこれが非常にやっかいで、利害関係や上下関係がすでにある中で対話をしようとすると、それらの情報が見えない心の壁をつくり、対話を阻害する壁となりやすい。それは心理的なものでかつ無意識なものなので、ここに「文字」を有効活用することを僕はよく多用するし、多くの対話の場で使われるテクニックでもある。

 

模造紙にポストイットに水性マーカー。よくあるワークショップの現場のツール。「またか」と思ってしまうこの3種の神器だが、ちゃんと役割が明確であれば効果をしっかり発揮する。ようするに、「発言」と「人格」を切り分ける効果を、文字にして見える化することや、ポストイットで移動できる状態にすることで生みだすことができる。

 

よく、年配の男性ほど「書くこと(描くこと)」に怪訝な顔をしたりストレスを感じる。きっとこれも無意識だと思うが、おそらく「自分というこれまでの実績や立場をまとった人格」と「発言」が分けられることがイヤなんだと思ってる。「あれは俺が言った」「俺はあんなこと言ってない」という男性は非常に多い!年配で、かつそれなりの役職についている人ほどそうだからおもしろい。

 

きっと右肩上がりで、正解がわかりやすく、強烈なリーダーシップや指示があれば結果を出せた時代は、「実績と立場」を利用した威光で組織を動かせたし、それで結果も出せた。でも今は価値観がどんどん多様化し、正解も一つではないし、誰もわからない。だからこの威光の力はどんどん弱まっていると思っている。そんなときに「文字」を見える化し、「発言」と「人格」を切り分ける対話の場は、多様なアイデアを生み出し、共感も生みやすいのだ。

 

これからどんどん時代が変わっていくのに、前時代的な価値観で組織を動かそうとする文化なままな会社、まだまだ多いようだ。早めに手を打たないと一朝一夕では「対話が生まれやすい職場」はできませんからね。少しでも若い世代がイキイキと発言し、自主的に行動を起こすような職場が増えてほしいな、と思います。



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