プロデュース・マーケティング

課題解決にコミュニケーションデザインを!

「何を伝えるか」にばかり注目してしまいますが、実は「どう伝えるか」がけっこう大事です。でも世の中の大半のものは「何を伝えるか」に終始してしまっているものばかり。ここにデザイン、もっと上流のコミュニケーションデザインが入ることで、課題を一気に解決することができます。

 

駐輪機の仕様変更でクレーム激増

ちょうど1年ほど前の2017年春、天神地区の路上駐輪機の約400台が、「後払い」の仕組みから「前払い」の仕組みに変更になりました。自転車で天神にお出かけしたことがある人は、おそらく体験済だと思いますが、昔は(今も)多くの集中精算機がない、1回止めたらいつまででも100円の路上駐輪機はチェーンみたいなのをガチャン!として、はずすときに100円入れるだけで良かったやつでした。

 

ところが・・・。あまりにも天神地区は「止めるところがない」からなのか、先に止めている人の駐輪機に100円を入れてチェーンをはずし、自分の自転車を止めてガチャン!としちゃう人が出てきたらしい。さらに先に止めてた人は違法駐輪扱いになるので、撤去されてしまった!なんてことが?

参考記事:有料駐輪場の自転車が「撤去された」 そんな「被害」がネットで話題

 

これを問題視した市の議員が議会で発言。市役所もそれに対応するかのように、(たぶん予算をけっこう使って)このようなことが起きないタイプの駐輪機に差し替えた。

 

その新しいタイプの駐輪機は、「後払い」じゃなく「前払い」までは良かったが、なんとカギ付きになり、自転車を止める人の作業も以前の100円入れてロックを回すとチェーンがはずれる2工程だったのが、①100円を入れて②カギ(ロック)を45°回し③カギを抜いて④チェーンを差し込む、という4工程に増えてしまった。

 

となると、これまで「後払い」に慣れてしまっていた自転車ユーザーにとっては、「前払い」になってしまい、かつ「工程が倍」になったので困惑。やり方がわからずに(一応、最小限のことは書いてあった)、問合せやクレームが激増したそうな。

 

駐輪場を運営しているところからの相談

2017年の4月後半、この問合せやクレームがすべて行く「天神地区の路上駐輪場(と警固公園の地下駐輪場)」を指定管理で委託請けているところから相談が来ました。その内容は・・・

 

 

「路上駐輪機の使い方が変わったので、その内容がわかるように看板を設置したい。その看板を合板かなんかでデザインして設置をやれないか?」

 

というもの。その相談をもとに現場に足を運んでみると、確かに「こりゃクレームくるなー・・・」な仕様。そして相談内容は路上駐輪機が並んでいる数カ所に合板を括り付けたい、というもの。とおそらく普通の看板業者だったら、言われた通りにやったことでしょう。僕に相談してくれてよかった!

 

ユーザー目線にどれだけ立てるか?がコミュニケーションデザインの土台になる

で、実際にどうなったのかというと、冒頭の写真の通りこうなりました!

2018-0322

 

合板にデザインして約400台以上ある路上駐輪機のエリアに、10カ所以上の看板設置。おそらく看板屋に見積もるとけっこうな金額いくと思います。

 

でも実際は、駐輪機1つ1つに「デザインされたシール」を貼る対応になりました。いつも一緒にいろんなもののツールをデザインしてきた腕利きのデザイナー(同じシェアオフィスにいる)に、事の状況を伝え「こんなシールをデザインしたい」、そして雨に強い素材のシールで、くり抜いたタイプを1種類がいいのか、3種類に分けて制作した方がいいのか(安いのか)を印刷会社に相談、そして出来上がったのがこのタイプでした!

 

合板なんか絶対見ないって思ったし、必ず自転車を止める人の目と手がいく「その場所」をデザインするのが一番「伝わる」って思ったからです。結果として問合せ・クレームは激減。「天神の路上駐輪場」を管理している実際の現場の人たちからはとてもとても感謝されました。

 

何か課題があるとき、たいていのことはコミュニケーションの全体像を明らかにし、どの部分にどんな工夫を入れたら良いか?という全体のデザインをすることを、僕は勝手にコミュニケーションデザインと呼んでいます。そんなお仕事で、困っている人を支援できたことは良かったです!

 

でも・・・

 

天神の駐輪問題の解決には繋がってない!

はい、そもそもの問題の根絶はそこじゃない!ってきっと読んでて思ったはず。市役所は、というか世の中のたいはんのものは「対処療法的」に思考して、予算組んで動いてしまうのがこの国のちょっと良くないクセ(文化?)だと思います。

 

何がこの天神の駐輪問題の本質なのか?をしっかりと見極めた上で、全体のコミュニケーションデザインをしていくならば・・・。

 

そもそも、便利がよくみんなが止めたいエリアも、少し離れたエリアも「駐輪場が同じく1回100円であること」が一番の課題だと思います。需要が高い、いや高すぎるところほど「値段も高く」することが、これらの問題を単純に解決してくれます。しかも路上駐輪の台数って天神だけでもすごい数ですよ。さらに言うなら西鉄福岡天神駅すぐ横の警固公園地下駐輪場が1日50円ってなんですか?です。(いや、でもこうなった経緯をよく知ってるし、その頃は僕も違うところでこの問題に絡んでたんだけどね・・・。でもそれは昔の話!そろそろ変えていい!)

 

民間の「駐車場」はそうなってますよね。だから路上駐車が取り締まられるようになって、みんなちゃんとパーキングに止めるようになって、便利なところほど「値段が高く」なってるわけで。

 

同じように民間も含めて市の「自転車の駐輪場・駐輪機」もそうしちゃえばいいのさ~!!

 

なにより天神地区は、福岡市内の各区・各エリアの「駐輪場事業」で唯一の黒字だそうです!1日100円じゃなくて1回100円(つまり2~3日止めてても)なのに!しかも、約25%近くの路上駐輪機は故障して使えなくなってるのに!それだけ回転してるし、需要が高いってことです。ちゃーんと「稼ぐ事業」として戦略的にやれば、だいぶ稼げる事業になるんです。

 

それを妨げているのは「条例」でした。どうやら5年に1度しか変えられない?変えるのがとてもたいへんとか?だから、市役所の駐輪を扱う部署じゃないところに相談をしたけど、だいぶたいへんそうな話だったので、半ば諦め感もあり・・・。

 

でもちゃんと「便利なところは値段が高く」なってれば、ユーザーにとってはちょっとイヤかもだけど、それで街の美観は保たれ、かつ収益が上がるからそれを「街のために使う」というモデルにしたら最高の持続可能なまちづくり事業になるし、何よりこれまで起きてた「自転車止めてたのに、もっていかれた!」なんてことも起きなくなる。民間のビルにある駐輪場だって値段を上げられるから稼げるようになるし、いろいろプラスだと思うのです。

 

ということで、こちらの記事にその仕組みについて書いてます。



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