働き方・ワークスタイル

福岡で起こる女性リーダー育成の波!?~ふくおか女性いきいき塾~

2018年2月17日(土)にアクロス福岡で開催された、ふくおか女性いきいき塾6期生の成果報告会でコメンテーターとして出席してきました。福岡では2012年度から福岡県男女共同参画センターあすばるが企画主催ということで始まり、今年度で6期生でした。毎年20~30人ほどの県内で働く?住む?女性が対象(なぜか行政職員は参加できないらしい、県の予算でやってるから?もったいない!)

参照) ふくおか女性いきいき塾 (福岡県男女共同参画センターあすばるHP)

 

 

いきいき塾出身者が活躍しはじめてる!

2010年度だったかな?福岡県男女共同参画センターあすばるに館長として赴任してきたのは、女性向けフリーペーパー「アヴァンティ」を創業した村山由香里さん。その由香里さんに半ば強引に巻き込まれたのは、当時独身で子どもももちろんいない僕。2011年の年に一度の福岡県男女共同参画の集大成である「あすばるフォーラム」の副実行委員長をすることに。男性なのに?独身なのに?なぜ?と思ってましたが、実際に副委員長を務め、数年たって結婚・子どもも生まれ、そして今回のふくおか女性いきいき塾を見て、「関わった意味」がかなり鮮明に、そしてその重要だったことを思い知ります。

 

当時は(今も?)、男女共同参画って60代以上の女性ばかりの世界。それって全然多様性ないし、だいぶ偏ってるよね?ということで、由香里さんはいろんなことを手がけました。その流れの中で生まれたのが「いきいき塾」。

 

福岡テンジン大学が開校したのは2010年、以来福岡のまちでいろんなジャンルの方々とお会いして、一緒にお仕事したり、話したり、相談しあったりする機会が増えていきました。もちろんその1つがこの「男女共同参画」でした。由香里さんに巻き込まれてから、福岡県内の男女共同参画で講座やワークショップなどの依頼を受けることも増えました。

 

すると、女性の起業家も行政職員もNPOや地域活動をされている方々とも出会います。2012年度から、ふくおか女性いきいき塾が始まったことは知っていましたが、どんな女性たちが参加しているのかは知りませんでした。ところが~

 

この数年、何か自分でコトを起こしたり、プロデュースしたり、いわゆるリーダーをしている知り合いの女性に「いきいき塾」出身だという人が多いことに気付かされます。「えっ、あの人そうだったの、あら、あなたも、えっ!あなたも!」みたいな。とくに1期生ってどの業界でもエネルギーがすごいですが、いきいき塾の1期生もすこぶるエネルギッシュに動かれている方々が本当に多いです。起業した方や政治家になった方も、NPOを立ち上げた方も、地域で知る人ぞ知るになっちゃった方も、一緒にお仕事する方も数人。

 

いきいき塾生の多様性!男性版はムリな話

この、ふくおか女性いきいき塾って、1つのコミュニティであり、ネットワークですよね。影響力という意味で生息域があるとすれば、その繁殖力ってすごいんです。福岡にはいろんなジャンルのコミュニティがあり、ネットワークがあります。もちろん、最大級のソーシャルコミュニティは、福岡テンジン大学なんじゃないかと思ってますが(笑)、よく言われるので。で、これらのコミュニティに属していると、その思想というか哲学というか、雰囲気みたいなものが個人にも纏われていくと思うのですが、多くのコミュニティってリーダーが男性であることも多く、男性って思考が専門的で縦割りなので、起業は起業、経営者は経営者、NPOはNPO、スタートアップならスタートアップなど業界や業種ですぐ群がりたがります。たぶん男性って、そうじゃないと集まれないんじゃないか?とすら思います。

 

でも、いきいき塾生ってそこを出身した人が、起業家もいれば、政治家もいたり、NPO立ち上げた人もいるわけです。もちろん務めている会社の中でさらなる活躍している人も大勢います。

 

この事実、きっとピンとこない人の方が多いのかもですが、この世にごまんとあるリーダー育成型のコミュニティやスクールで、これだけの多様性を持っているものは数少ない。さらに出身者がしっかりと社会や地域に根付き、活躍しはじめる人が続出するって、本物じゃないですか?この福岡では他に聞いたことがないです。経営大学院のグロービス福岡校もやっぱり「ビジネス」なので、その分野では多くの人材を輩出しはじめていますが、「ビジネス以外の分野」では全く人材の名前を聞きません。普通がそれですよね。多様性をあえて挙げるとすれば、松下政経塾くらいでしょうか。(それでも政治家や起業家ばかりですが)

 

女性が活躍する組織・地域は元気になる!

2013年6月の週刊朝日の記事にたいへん興味深いものがありました。2007年~2012年の5年間で日本の東証一部上場企業の役員の性質ごとに、「売上高」「純利益」「従業員の給与」(だったかな?)の3つがどのように動いたか?を比較する記事でした。

 

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東証一部上場企業1606社調査で、女性役員がいる会社といない会社では、いる会社のほうが、売上も利益ともに圧倒的に業績が良いことがわかった。2007年~2012年の5年間で見ると、全体平均(1606社)では30%減益したが、女性役員がいる企業(71社)は17%増益していた。売上高経常利益率でみても、「いる会社」9.1%に対して、「いない会社」5.1%と、米国での調査結果よりもさらに顕著な差がみられた。「いる会社」の3分の2はオーナー企業で、オーナー系との相関が強いこともわかった。一方、外国人役員がいるか否かでは、業績にほぼ差がみられなかった。

引用:My News Japan「女性役員「いる会社」17%増益、「いない会社」31%減益 一部上場1606社の5年調査」より

 

これって、すごいニュースだと思ってたんですが、世間的には全然話題になりませんでした。なんで?それは男性ばかりの役員で固めてる企業ばっかりだから?

 

日本は世界におけるジェンダーギャップ指数では110位台、もちろん先進国中で最下位クラス。男女における様々な平等指数が低い国なんですね。この20年、多くの先進国がGDPを2倍とか3倍とかにしたり、生産性を向上させてきているのに、日本はほぼ横ばい。その原因って「男女」における部分への無意識の思い込みで包まれた「文化」から来ていると僕は思っています。そしてその空気が「社会」をつくり、若い世代、子どもたちに伝染していきます。

 

でも、でも。女性をちゃんと企業の役員や管理職に置いたり、女性をその人の得意分野で輝かせている組織や地域は「元気」なんですよ。先日の、ふくおか女性いきいき塾6期生の成果報告会で、同じくコメンテーターを務めた西部技研の社長・隈さんも、10年前くらいから「女性」に着目して会社制度を整えてきた結果、「この数年は経営会議に女性がいないと上手くいかない。業績も本当に上がっている。女性活躍を考えていない経営者は、たぶんもう無理だと思う」ということも話されていました。

 

このような動きが、この福岡でジワジワ起きている。いい波だと思います!



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